「新米がとれて価格が安定するかと期待していたが…」米が足りない!依然として高値で取り引き…米屋の嘆きに様々な声
「令和の米騒動」の2024年、秋以降も米不足が続いているのはなぜ?
――今年は「令和の米騒動」となり、米の価格が高騰しました。 「2024年の令和の米騒動は、まさかのタイミングで値段がどんどん跳ね上がり、最終的には新米がとれてもまだ上がって23年の倍の米の値段になってしまいました。原因は、まず高温障害によるもの。反収(※)が1反当たり4俵(1俵の重量は約60キロ)から5俵、それ以下のところもありました。さらに高温によるカメムシ被害が多く発生し品質の低下も。産地では業者同士が値段を上げてしまっています」 ※反収:1反当たりの収穫量を表す言葉で、土地生産性の指標に当たる。 ――今も米の高値が続いているうえ、需要が供給に追いつかず米が不足しているとのこと。それはなぜ? 「最近は、外国の方が日本のお米を買うようになりました。おそらく輸入米も高いのが原因かと。またインバウンド(訪日観光客)により、外食産業で米の需要が急増したことも、米不足に拍車がかかっているようです」
国内の米生産が増えない!
――現状では国内のお米の生産を増やしていかないといけない状況なのに、米農家の廃業も増えているとか。 「現時点で、離農される農家さんが激増していて、たぶん、机上では計り知れない数字だと思います。実感として、この先の農家さんから買い入れるお米は激減する見込みです。農家さん向けの肥料屋さんがいて、例年の仕入れる量の半分ぐらいしか肥料が売れなくて大変だという話を聞きました。かなり広い範囲の水田を耕していた農家さんが高齢のために急に辞める人が増えたとのこと。ですから、私どもは、地元の農業委員会に相談しまして、水田の面積を増やす予定です。 農家を辞める人が増えたのは、今までの減反政策(※※)など国の農業政策でお米の生産が安定しないという専門家からの指摘もあったり…またコロナ禍でお米の値段が極端に下がったり。ウクライナ戦争により燃料や農薬、肥料などの価格の高騰も続いたり、機械の老朽化も進んだりして悪化。なかなか改善しない中、米農家の跡継ぎもおらず、高齢化に拍車がかかったんです」 ※※米の生産量を調整して米価を維持するために、国が農家に米の生産量を割り当てていた制度。田んぼの面積を表す単位である「反」を減らすことから「減反」と呼ばれました。1960年代半ばに食生活の変化でコメが余り始めたことを受けて1970年に始まり、2018年に廃止。 ――農家が廃業した背景には、日本人の米の消費量が減ったことも要因のよう。 「そうですね。日本人のお米の消費量は年々少なくなって、1962年の118キロから2020年には50.7キロとなって半減しています。特に米屋でお米を買う消費者は、全体の2%のごくわずかな層ですが、それより現在は低いと考えられます。米屋は斜陽産業と言われても仕方ありません。なので、今は米を売るだけではなく生産しています。農業認定者となって令和6年から川越の水田を耕したり。私が農産物検査員ですので自分の生産した『河越米』を検査してブランド強化を図ったりしています。そのほか、河越米を生産協力してくれる農家さんも増やしているところです」