【東奥日報プラス】「東京の中の“地方”」その1 はじめに。紀尾井町のルーツは紀州家、尾州家、井伊家。数多く残る大名屋敷ゆかりの地名。巨大都市「江戸」は不思議な連邦国家制だった。小山内豊彦(青森県立保健大学社会福祉学科特任教授)
Web東奥|東奥日報社
「東京」、もちろん、日本の首都であり、わが国の政治・経済の中心地として現在も成長を続けている大都市である。その人口約1350万人は国全体の約10%を、また、その総生産は国全体の約18%を占めている。あまりの一極集中ぶりに、これまでも、“国土の均衡ある発展”という観点から様々な政策・施策が講じられてきたが、その傾向にはブレーキがかからず、むしろ“集中”は加速化している状況である。毎年、全国各地の高校を卒業した若者は東京の大学に憧れ、また就職に当たってもそのまま東京を仕事の場として選び、ふるさとに戻る若者は貴重な存在となっている。青森県のような「地方」は、東京によって多面的に“栄養分”を吸い取られ、衰退に歯止めがかからない。しかし、そんな「東京」ではあるが、一皮剥けば、全国各「地方」の“痕跡”というか、“遺伝子”というか、そんな要素に満ち溢れているのである。本稿においては、様々な側面から、土中の「化石」を発見するように、東京の中に伏在している「地方」を見出していくこととする。まずは「地名」をもってその導入部としたい。
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