一般道でフェラーリの限界走行をしてみたい! 無茶な注文の主とは?
事後談だが、こんな奇想天外なことを実験部長が考え出したのは、「時に常識外のトライや経験をすることで、今までにないアイデアや価値観が生まれるのではないか」と考えたからだそうだ。僕の想像は当たっていた。 そして、それ以後、実験部の思考と行動は、柔軟さと厳しさがともに増し、さらには新たなチャレンジへの積極性が増したと聞いた。 僕も、このメーカーを訪ねる度、新しいクルマに乗る度に、「確かにそうだな!」と感じられた。素晴らしくハッピーな気分だった。
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽