「親亡き後を常に考え」心が休まる暇はない知的障害児の子育て 桜井奈々が一番悩んだ「普通のことが普通にできない」
知的障害を持つ自閉症の娘さんを育ててきたブロガーの桜井奈々さん。娘さんは18歳を迎え、この春から障害者枠就労で働き始めたそうですが、就学も就労もひと筋縄ではいかないものがあったそうです。(全3回中の2回) 【写真】美しく成人された娘さんの現在 など(全14枚)
■「それもやりました、これもやりました、やりつくしてこうなんです!」 ── 娘さんは1歳6か月検診のときに「様子を見る必要がある(発達障害のグレーゾーン)」と告げられ、2歳10か月のときに知的障害ありの自閉症スペクトラム(当時は広汎性発達障害)との診断が出たそうですね。10歳ごろまでは子育てが本当に大変だったとか。
桜井さん:当時、娘は言葉が出るのが遅かったんです。保健師さんから「本をもっと読んであげてください」と言われるのですが、娘は集中力がなく多動もあり、読み聞かせようとしてもじっとしていられない。周囲からは「テレビばかり見せて、子どもに話しかけてないんじゃないの?」と疑われることもありましたが、テレビさえじっと見られない娘なので、それも考えられない。娘の事情を知らない人がいろいろと言ってくるなかで「それもやりました。これもやりました。やりつくしてこうなんです!」と、伝えたくなるような場面は何度もありました(笑)。でも、周囲の人に「教えても理解できない。正論が通じない」という娘の状況をわかってくださいというのは難しいですよね。私自身、経験して知ったことなので。
じっとすることができず動き回る娘に手を焼いていると「しつけができてない」と、知らないおじさんに杖でベビーカーだけでなく、親の私自身が叩かれたこともありました。つらいことが多かったですけど、スーパーのレジで並んでいるときに娘が列に並ぶのが難しい状況に「先にどうぞ」と言ってくださったり、優しく助けてもらえたときは本当に嬉しかったです。 ── 壮絶な毎日と向き合っているのに、事情を知らない人たちから不本意な言葉をかけられるのはつらいですね。