阿川佐和子さん「夏きもの挑戦宣言」再び!
まずは、お出かけ前に妄想レッスン
年々猛暑日が増しているように感じる昨今の夏暦。気合を入れてきもので出かけようと予定していても、阿川さんと同じく、つい躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。撮影で着用するだけでなく、もう一歩踏み出したいという思いから、阿川さんはお出かけの妄想コーディネートを試みました。 先月の小物合わせのお浚いレッスンも兼ねて、お母様譲りの夏きものからお気に入りの一枚を取り出しました。秋草と流水が涼やかな奥州小紋に合わせたのは、南国の絣を織り出した八寸帯です。お手持ちの帯揚げや帯締めを載せては戻し、戻してはまた載せ、「あーでもない、こーでもない」「あら、意外に素敵じゃない?」とイメージを膨らませながら組み合わせを構築しました。
●同じ帯締めで、描く女性像を変える
「趣ある奥州小紋や帯の雰囲気にモダンさが加わるよう」と阿川さんが選んだ帯締めは、濃淡のグリーンや臙脂色の糸を幾何学的に組んだ一本。 まずは透明感のあるグレーの帯揚げを合わせてクールな女性像を描きました(左)。 一方、「渋さの中に、ほんのり色っぽい印象が生まれますね」と、撫子色の帯揚げでフェミニンな雰囲気を演出。
●小物合わせで季節の機微を装う
暑さの頂点は下がる気配がなかれども、立秋を機に次の季節を迎える心づもりを色で表現。 帯揚げはきものに馴染ませて引き算し、シックな深藍色の帯締めをきりりと合わせた盛夏の装い(左)に対し、帯揚げに苅安色を用いるだけでぐっと秋らしい印象に(右)。
取材時には「この夏も、きものに袖を通すことはないのかも……」と語り、夏きものスタートライン直前までたどり着いたことをエッセイに書いてくださった阿川さん。しばらく後に、「夏きものでお出かけしました」と笑顔の写真が届きました。料亭での会食に、柔らかな夏紬を着こなした姿をご覧ください。
阿川佐和子(あがわ・さわこ)
作家・エッセイスト 1953年東京生まれ。大学卒業後、テレビ番組でのリポーターを機に、報道番組でのキャスターや司会を務める。映画やドラマに出演するなど女優としても活躍。『週刊文春』(文藝春秋)では対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を、『婦人公論』(中央公論新社)、『波』(新潮社)他では多くのエッセイを連載。テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』『日曜マイチョイス』にレギュラー出演中。『レシピの役には立ちません』(新潮社)他、著書多数。
撮影/伏見早織(本誌) 構成・取材/樺澤貴子