【宮野真守さんインタビュー】『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE ユア ネクスト』「“ヒーローとは何か”というメッセージ性が多くの人の心に大事なものを残す」
アンナを演じるのは、“めるる”の愛称で知られる生見愛瑠さんです。 「収録は別々でしたが、取材で顔を合わせました。元々めるるさんのお芝居が素晴らしいと思っていましたが、完成版を見せていただいたら本当に素晴らしくて。明るいバラエティなどで見せる普段の姿と、お芝居になったときの差異が本当にスゴイ。だから今回、声優を務めると聞いて“なるほどな”と思いました。しかもアンナは洗脳されているような状態で始まるので、その根本をどう作るのかなど非常に難しい役だと思うんです」 「今回の音響監督は僕もとても信頼している方で、“心情”を大事にアプローチして下さるので、それだけに色んな要求があったでしょうし、それに誠実に向き合ったと感じさせるお芝居がとても素敵でした。またアンナは洗脳状態から始まるがゆえに苦しいシーンも多いのですが、そんな彼女の震える声には、僕もギュっと心臓を掴まれました。同時に所々で挿入される回想シーンでの弾むような声には、僕自身もジュリオとしてもトキめきましたし、本当に素敵でした」
自分にとってのヒーローは?
子供時代の宮野さんにヒーローはいらっしゃいましたか。 「やっぱり特撮作品を真剣に見てました。特撮ヒーローに憧れて、よくお兄ちゃんと戦っていました。こうして自分が声優になり、いろんなヒーローを演じるとは思っていませんでしたが、ある意味、夢は叶うなという思いがあります」 当時、悪役やヴィランに惹かれることはありましたか? 「大人になってからは悪役の方が多い気がします…(笑)ただ、“ヴィラン”や“悪役”という言葉にすると一言で片付いてしまいますが、ヴィランにも色んな形がありますよね。これまで僕がやらせていただいたヴィランたちは、むしろ自分の正義を貫いてる人が多かったので、“正義のあり方”など表面的ではない部分まで色々と考えるようになりました」 「誰にとっての正義なのか、その正義はどこに向いてるのかなどをちゃんと理解していないと出来ない仕事でもあるんです。その上で、どういう決断をするか、ということなんですね。世間的には“ノートに名前を書いて人殺すのはダメだよ”となりますが、それでも彼は彼なりに自分の正義で戦っていた。そういうことを考えていく仕事なので、より人間の思いなどを色々と考える機会が多くなりましたし、それによって自分の引き出しが増えてきたかなと思っています」 本作を通して、改めて“ヒーロー”について考えたことはありますか? 「ストーリー全体として、誰が何のために(ヒーローを)受け継いでいくのかなどを考え始めると、結構面白いんですよ。今回登場する敵<ヴィラン>も、ある意味、受け継いでしまった純粋な思いがあったりする。その矛先がどこに向かうか、どんな手段を取るかによって“正しい/正しくない”が判断されてしまう。一方で、出久たちの姿を見ていると、正しく真っ直ぐに受け継ぐことも、やっぱり重要だと思わされました。また別の正義としてジュリオも登場するように、いろんな人物の正義の矢印の方向性や、それがどこへ向かっているかが、とても面白いと思いました」