米金融関係者、来年の大型M&A増加予想 次期政権が規制緩和
Anirban Sen Echo Wang [ニューヨーク 11日 ロイター] - 米金融関係者によると、トランプ次期政権下では大型合併・買収(M&A)が増える見通しだ。 今年は厳しい規制環境で大型M&Aが低迷したが、トランプ氏は10日、連邦取引委員会(FTC)次期委員長にアンドリュー・ファーガソン委員を起用すると発表した。ファーガソン氏は大型M&Aに対する規制を緩和する意向を示している。 モルガン・スタンレーのM&Aグローバル・ヘッド、トム・マイルズ氏はニューヨークで開催された「ロイターネクスト」会議のパネル討論会で「今年は400億ドルを超える取引が1件もない。歴史をさかのぼれば400億ドルを超える取引は例年、何件かあった。大型取引の時代は決して終わっていない。そうした取引の一部が来年復活するだろう」と述べた。 米金融大手ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は10日、来年は株式やM&Aのディールメーキングが10年平均を超えることもあり得るとの見方を示した。 すでに楽観論が高まっている兆しがあり、米広告大手オムニコム・グループは9日、競合の米インターパブリック・グループを総額132億5000万ドルで買収することで合意したと発表した。実現すれば、世界最大の広告代理店が誕生する。 米国の追加利下げもM&Aに寄与するとみられている。過去2年間は金利上昇でレバレッジド・バイアウト(LBO)の資金調達コストが増え、大型M&Aが困難になっていた。 プライベート・エクイティ(PE)業界には、まだ投資されていない資本が約4兆ドルあり、金融関係者は来年のバイアウト急増を予想している。 みずほの投資・法人金融担当米州トップ、マイケル・カッツ氏は「今年後半はPEの取引が復活した。第3・四半期はPEが絡む取引が2022年第2・四半期以降で最高だった」と指摘した。 また、海外投資家が急成長する米国企業に関心を寄せることで、目先、M&Aが増える可能性もある。 マイルズ氏は「特定の国に対して対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が活用されているが、海外からの関心がはるかに強い追い風になるだろう。全体として(CFIUSの審査が)米国への資本流入を鈍らせるとは思わない」と述べた。