名スカウトがリストアップした甲子園の逸材たち
球児の夏がいよいよ9日、甲子園で開幕するが、それは同時に金の卵を探すプロ野球スカウトにとっても最後の暑い夏の始まりだ。かつてヤクルトのスカウト部長として若松勉や古田敦也を発掘、スカウトについての著書も書かれている片岡宏雄氏(78)に今大会の気になるドラフト候補選手をピックアップしてもらった。 まず総論として片岡氏は、「今大会は、投手、野手共に、どのスカウトの意見も一致してドラフト上位で消えるような素材は少ない。これから試合を見ながら掘り出しものを探していきたいが、スカウト目線から見ると不作と言える大会かもしれない」と、今大会をドラフト候補が不作の大会と位置づけた。スカウトの喜ぶような金の卵が、ゴロゴロとは転がっていないが、その中に逸材はいる。 ■岡本和真内野手(智弁学園) 片岡氏が、まず名前を挙げたのは智弁学園(奈良)の岡本和真内野手だ。183センチで95キロの肉体。センバツで2本塁打、奈良県大会でも3本塁打、14打点、打率.556と打ちまくった。ここまでの通算本塁打は、73本の大砲である。「将来、クリーンナップを打てる右の大砲候補は、なかなか出てこない。その意味で、岡本は10年に一人の素材だと思う。うまく成長すれば、日ハムの中田翔レベルまでいけるだろう。魅力は、ボールを遠くへ飛ばす能力だが、バットを振り切る力を持っている。例え、崩されても振り切るし、どんなときにでも中途半端なバッティングをしない。これは簡単にできるようでできないこと。それも天性」。 ■徳本健太朗外野手(龍谷大平安) 片岡氏が他にリストアップした野手は、龍谷大平安(京都)の徳本健太朗外野手。50メートル5秒8の俊足で、京都府予選では4盗塁。バッティングもシェアだ。また通算57本塁打を放っている左打者、健大高崎の脇本直人外野手も片岡氏は要マークだという。「球際に強い選手というのは、プロで一流になるための条件。それはイコール、身体能力、瞬発力のある選手。徳本は、それらの条件を満たしている選手だ。脇本は、テイクバックに間を持っている。いわゆるバッティングのトップを作れる選手。これもスカウトが必ずチェックするセンスの部分だ」。