北川景子の葛藤 3年前やっと楽しくなった役者という仕事
変わっていける潔さ持った役者でありたい
「ファーストラヴ」では、事件を取材する公認心理師・真壁由紀を演じる。原作は第159回直木賞受賞の島本理生氏のサスペンス・ミステリー小説で、累計発行部数35万部を超えるベストセラーだ。 「この作品のお話をいただいたとき原作を読んだのですが、引き込まれて一気に読んでしまったんです。それで、相手役の環菜(芳根京子)さんという女性に向き合うには相当な覚悟がないと向き合えないなと思いました。まずは公認心理師という職業を知らないといけない、間違いがあってはいけないと思って、本を読んだり、実際に公認心理師の方にお会いできる機会を作っていただき、お話をきいて。そんな中で、こうやってクライアントさんと話をして行くんだという勉強もしました」 そして撮影が始まってから、心がけたことがあるのだという。 「最初に台本を読んだときの印象を大事に忘れない、ということです。はじめはこう思ったけどでも本当はこうなんじゃないかな、なんて深読みしていくと混乱してしまって伝わりにくいお芝居になってしまうのでは、と危惧しました。なので、あまり深く考えすぎず、最初にどう感じたかという気持ちをクランクアップまでに忘れないように、と。実際、現場に行き、ほかの役者さんとお芝居をしてみて初めて生まれたものもあるんです。こういうことをしたら?と言われたら柔軟に対応できないといけないので、セリフをこうしようとか、あまり考えないパターンが多いですね」 いま思い描く理想の俳優像とは、どんなものなのか。 「いろいろな役ができる人でありたい、と思っています。これまで私は自立した女性とか強い女性の役が割と多かったのですが、そうではない役もやってみたい。役によって毎回変わっていける人になりたいんです。役によっては髪を切る必要があれば髪を切るし、太るんだったら太るし、ガラッと変わっていける潔さがある役者でいられたら、と思います」 これからの北川景子が、ますます楽しみだ。 (写真と文:志和浩司)