「遺留捜査」第6シーズンも人気 ドラマ支える上川隆也の好演
上川隆也主演の連続ドラマ「遺留捜査」(テレビ朝日系、木曜20時)が安定した完成度の高さを見せている。マイペースで風変わりな刑事・糸村聡(上川)を主人公に、さまざまな事件を解決していく人気シリーズで、誕生から10周年を迎え、連続ドラマとしては約2年半ぶりの第6シーズンとなるが好調だ。
第4シーズンからは京都が舞台に 安心して見ることのできる完成度
糸村は京都府警捜査一課特別捜査対策室(通称・特対)に所属する刑事だが、空気を読まない性格で突拍子もない言動を発し、周囲からは変人認定されているほど。しかしただの変わり者ではなく、鋭い鑑識眼と偏執的ともいえるこだわりの持ち主でもあって、事件現場に残された“遺留品”から事件の真相と被害者の最期の思いを明らかにしていく。事件解決のみならず遺族の心情をも救う糸村の、風変わりながらも愛すべきキャラクターがシリーズの根幹を支える。共演は栗山千明、永井大、戸塚純貴、宮崎香蓮、甲本雅裕、戸田恵子ら。毎回のゲストも話題で、4日放送の第4話ではモーニング娘。OGで女優の工藤遥がミステリードラマに初出演する。 2011年4月に水曜21時枠で第1シーズンがスタート、当時は東京が舞台で糸村は月島中央署の所属という設定だった。以後、2012年7月からスタートした第2シーズンは木曜ドラマ枠での放送となったが、2013年4月からの第3シーズンは水曜21時枠に戻った。人気シリーズとなった同作だが、第3シーズン後はスペシャルドラマとして不定期に放送され、約4年が経過し2017年7月に木曜ミステリー枠で始まった第4シーズンは大きな転機となった。久々の連ドラ復活となった第4シーズンだが、糸村が月島中央署から京都府警捜査一課特別捜査対策室に赴任、美しい京都の街を舞台に活躍することになったのだ。物語自体の面白さはもとより、京都の街並みや風景もドラマを引き立てる大きな魅力となったといえる。 そして2018年7月からの第5シーズンも引き続き木曜ミステリー枠で京都を舞台に展開され、同年11月と2019年2月には日曜プライムでスペシャルドラマ版が放送。同年10月、11月、12月にもスペシャルドラマとして放送され、いずれも人気を博している。 第4シーズンで舞台が京都へと移った際、上川は取材に「場所が変わっても、糸村自身には変わりはないです。もし他の人物を演じるのであれば、違った気持ちにもなるんでしょうけど。僕もこれまで同様、何の抵抗もなく糸村になれました。衣装と斜めがけのカバンとスニーカーを身にまとえば、瞬時に糸村になれるんです。自分でも不思議なくらいです」と答えていた。前シーズンから多少の時を経ても、また、ロケ地などの環境が変わっても、自然体でスッと役に入れるとのことだった。「糸村は、やはり糸村なんです。それは僕だけの力ではなくて、ご一緒させていただいた皆さんと作ってきたものであると思っています」 人気が持続しシーズンを重ねるドラマは、台本の面白さや演出、そしてやはり主演をはじめ定番の出演陣の演技が充実している。安心して見ることができるのだ。これまでさまざまな作品でさまざまな役を演じてきた上川にとって、糸村はあたり役の一つと言えるだろう。 (写真と文:志和浩司)