【速攻試乗】KTM新型250デューク「 OHCの新エンジンは2スト的な特性!? 車体はよりコンパクト&フレンドリーに」
新型250デューク「フルモデルチェンジでどう変わった?」
新型250デュークに採用のOHC単気筒エンジンは、高性能ならDOHCヘッドと刷り込まれている(毒されている?)中年以上のライダーにとって、進化と逆のような印象がするものの、実用的に性能向上を果たしているようだ。従来型の最高出力30ps/9000rpm、最大トルク2.4kgm/7250rpmに対して、新型は31ps/9500rpm、2.5kgm/7500rpmを公称。出力、トルクともに微増して各発生回転数も少し上がっている。 エンジンを抱えるフレームにも、変更が加わった。メインのスチールトレリスと鋳造アルミのサブフレームという構成だが、従来型ではセンターマウントだったリヤショックを右側にオフセット配置。これによりエアクリーナーボックスを大容量化したほか、シート高は30mm低くなった。身重173cmの体格では、両足を接地した場合で足裏全部が着くほど良好な足着き性だ。 またがっての第一印象は、250ccスポーツの中でかなりコンパクトということ。車体幅がスリムでフロントまわりがスッキリしているのに加え、乗車姿勢もコンパクト。低めのハンドルと前下がりのシートの着座位置との距離が近く感じ、ステップは後退気味で高い。 ライダーが接する3点関係(手、尻、足)がかなりギュッと凝縮されていて、最初はもう少しシートの前後長に自由度があって、ハンドルは少し高めだといいなと感じた。だが、しばらく走っているとこれもデュークらしい個性に感じ、慣れてくるから不思議なものだ。 ■新設計のOHC4バルブエンジン:実用的な性能向上をねらい、「適正化したシリンダーヘッド、進化したギアボックス」とアナウンスされるエンジン。最高出力、最大トルクともに微増し、発生回転数も若干上がっている。国産250cc単気筒と比較し、中高回転でパワーが高まるピーキーな特性が印象的だった。
新型250デュークのOHC単気筒エンジンは「2スト的ピーキーさが楽しい」
馬力、トルクともに少し上乗せされた単気筒エンジンだが、国産の250cc単気筒と比較して低回転トルクはさほど厚くなく、回転は軽く上がっていくものの、出だしに力強い印象はない。 トップ6速ギヤでの3500rpm付近からはじわっと反応して加速可能だが、5000rpm過ぎまで低いギヤで引っ張りたくなる。こんなとき、試乗車に装着されていたオプションのクイックシフターは使い勝手がよく、スムーズな加速に都合がいい。 馴染んでくれば、そのコンパクトさでスイスイと街中を走れる250デュークは、サスペンションの動きもバタつかずコシがあり、ストレスない走りを楽しめる。そして走っているうちに、やはり5000rpm付近から上を常用して走るのが同車の真骨頂だと気づいていく。 ワインディングに入ってもその印象は変わらず、前乗りの乗車姿勢のコンパクトな車体に身を委ね、ヒラヒラ切り返していくのが気持ちいい。このステージでもキープしたいのは5000rpm以上の回転数で、ここから9000rpmくらいまでを使って走るとき、デューク250は胸の透くようなスポーツランを堪能できる。これで思い出したのは、少し前の時代のピーキーな2ストロークスポーツで、回転を維持しつつ適切にシフトチェンジして走る工夫が楽しさにつながっていく。 取材時はちょうど新型390デュークにも短時間試乗できたが、こちらはほぼ同じ車体に積まれた最高出力45psのDOHC単気筒エンジンを搭載。250デュークより分厚いトルクでどの回転域からでも加速可能で、少しハイグレードな前後サスペンションでもって走りに磨きがかかっているのを実感。 しかし、250デュークが390デュークに比べて楽しさで劣るかというとそうでもない。250は2ストのようなピーキーな特性がそれなりに楽しく、頻度の高いギヤチェンジ込みのスポーツランが、懐かしくも熱くさせてくれるからだ。ストロークも短くタッチも具合のいいシフトや、軽量コンパクトな車体をコントロールするブレーキも反応がよく、ストレスない走りに貢献する。