梅宮アンナさんがり患を公表した「小葉がん」とは?「比較的珍しい、見つけにくいこともあるがんです」【医師に聞く】
検査をしていても「見つけにくい」がん。どう対応すればいいのか?
――今回、ある日突然乳房が小さくなり、おかしいと感じて検査をしたところ、すでに脇の下に転移のあるステージⅢAだったとアンナさんは語っています。それまでまったく予兆がなかったそうです。 小葉がんは高齢者に比較的多いがんで、また見つかりにくい分だけ大きな腫瘍になって見つかることもあるのが特徴です。 腫瘍を形成しないこともあり、乳管がんほどにはマンモグラフィや超音波でわかりやすくはないため、頻回の検査でも見逃されることがあります。いずれは脇の下の転移部分で気づいたとは思いますが、このように見つかりにくい、わかりにくいがんである「場合もある」、と言えます。 正直、私たちにできることはあまりありません。見つけたら治療をする、これだけです。何かのせいにして、たとえば自分の生活習慣が悪かったからだと自分を責めたりすることはせず、ありのままに受け止めることが重要かもしれません。 ――今後の治療の展望はどうなのでしょうか。 すでに梅宮さんは「AC療法」「パクリタキセル」ののちに手術までスケジュールが決まっているとのこと、これは極めて標準的な治療法です。 乳がんは基本的に予後のいいがんです。ステージⅢの5年生存率は80.6%、Ⅳで39.8%(ともにネット・サバイバル、がん情報より)と治療成績もよいのです。 全部取ることができない肝臓や胃と違って、乳腺は全部切除できますので、体の他の部位よりは再発を防ぎやすいのが理由の1つです。梅宮さんも右乳房の全摘出を決めているとのことですが、予後を思えば正解です。現在は乳房再建も保険が適用になりましたので、基本的に部分切除で乳房を残す意味がほぼなくなりました。 ――アンナさんは「右を切除するなら左もとれないんですか?」と医師に聞いて、断られれたそうです。 乳房再建を志さない場合は左右のバランスの問題が生まれますし、アンジェリーナ・ジョリーが予防的乳房切除に踏み切った「がんになりやすい遺伝子」、BRCA1・BRCA2遺伝子も脳裏をよぎるかもしれません。 45歳以下の乳がん、または60歳以下のトリプルネガティブの乳がんではBRCA1・BRCA2遺伝子の検査が保険で可能です。そしてBRCA1・BRCA2遺伝子が陽性であれば、乳腺の予防切除が保険で可能です。 英国・ケンブリッジ大学が作成しているPredict Brest Cancerというサイトでは、がんの条件を入力すると5年・10年・15年生存率をおおまかに算出することができます。英国でのデータですので日本人に厳密には適用できないのですが、参考にしてください。 また、ぼくのサイトでは「がん3部作」と題して、これまで40年の経験の総集編として、がんにり患したときの病院や治療法の選び方を詳しく解説しています。どなたにも参考になる内容ですからぜひご覧ください。 ――ありがとうございました。