「元夫とは離婚後のほうがずっといい関係」20年以上若者や家族を支援する女性の思い「多くの人が『いい母』の呪縛に苦しんでいる」
「理想の母になるため頑張りすぎる女性ほど苦しみは深いです」と語るのは、20年以上虐待被害に遭った子どもや若者を支援してきた「ゆずりは」所長の高橋亜美さん。子どもへの感情的な言動を抑えるためにできることをお聞きしました。(全3回中の3回) 【写真】「素敵なご家族!」子どもや若者を20年支援し、2児の母でもある高橋亜美さんとお子さんたち ほか(全14枚)
■子どもに2時間かけたら自分に1時間半くらい注いでほしい ── 子どもに虐待をしてしまう親は、どんな心理状態だと考えられるでしょうか? 高橋さん:私たち「ゆずりは」では、親の虐待から逃げてきた10代以降の人たちの相談に応じていますが、子どもへの暴言や暴力が止められないお母さんたちのプログラムも実施しています。彼女たちが虐待をしてしまう背景には、複雑な要因が絡み合っていますが、「お母さんを一生懸命やりすぎている人」が多い印象です。「ちゃんとした母親であらねば」と苦しんでいる方が多い。
「子どもも大事だけれど、まずは自分に少しでも優しくしてあげて」と思います。たとえば、育児に必死になっているお母さんには、「子どものために2時間を使うのなら、1時間、なんなら1時間半、なんならもっと!自分のために注いでいいと思うよ」と伝えたり。なかには、「自分がホッとできる時間が何なのかもわからない」「趣味なんてない」という方も多い。そういったときは、「きっとあるよ」と声をかけることもあります。こんなふうに、誰かと話すことで思い出すこともあると思うんです。「自分はこんなことが好きだったなあ」って。
子どもに熱心になっているお母さんたちって、孤立した状態にある人が少なくない。「自分はさておき」と後回しになったまま自分をケアできていない方が多い気がします。でも、もし、自分に「よしよし」って優しくできたら、不思議と子どもにも「よしよし」って優しくなれると思うんです。
■カッとなったらコンビニのお酒でひと息ついて ── 私もそうなのですが、子どもを怒鳴ってしまった後で、「言いすぎた…」と後悔することもあると思います。そんな失敗を防ぐためにできることはありますか?
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