マンション価格高騰の中で、デベロッパーが郊外の割安マンション開発を抑えている理由は?
マンション価格上昇が止まらない。ここまで高くなると、消費者の購買力がついていけなくなって、そろそろピークを打つのではないかという見方もある。しかし、新築マンションについては価格押し上げ要因が強く、まだまだ上がるのではないかと見られている。そのなかでも、新築マンションの供給動向は変化が起こりそうなので注視しておく必要がありそうだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之) 晴海フラッグ、マンションとしての価値を分析! 目次新築マンションの価格はどう決まる?価格上昇の仕組みを解説東京都区部では1000万円前後の年収が必要に建築費上昇でデベロッパーの利益率が悪化「都心・駅近」の物件は増えるが「郊外」の物件は減る?「都心・駅近」はリセールバリューが高いため増加傾向リーズナブルな価格帯の新築が減る可能性まとめ
新築マンションの価格はどう決まる? 価格上昇の仕組みを解説
新築マンション価格は下記を積算し、それを販売戸数で割って1戸当たりの価格が決定される。 (1)用地の仕入れ価格 (2)マンション建築費 (3)分譲会社の経費・利益 今、この(1)~(3)のいずれもが上昇傾向であり、価格の押し上げ要因となっている。 用地の仕入れ価格の上昇について (1)の用地の仕入れ価格は上昇が続いている。野村不動産ソリューションズの調査によると、2023年7月の指数は109.1だったのが、2024年7月は112.6だから、1年間で3.2%上がったことになる。 特に、マンションの適地といわれる都市部の駅から近い用地においては、デベロッパーの価格競争が激化している。前年比で二桁台の上昇となったエリアが少なくない。たとえば、野村不動産ソリューションズの「住宅地価格調査」の個別の調査地点をみると、世田谷区の経堂は22.7%、渋谷区の代々木上原は19.6%、世田谷区の成城学園前は16.0%などの高い上昇率を記録している。 「人気エリアの駅近だと、相場よりはるかに高い価格で購入しようとする業者がいて、とても太刀打ちできない」と嘆くデベロッパーの担当者が少なくない。 建築費の上昇について (2)の建築費の上昇も続いている。図表1にあるように、マンションの主流である鉄筋コンクリート造の工事原価は2023年後半には年率5台の上昇だったのが、2024年には再び上昇傾向が強まり、年率6%台から7%台の上昇となった。 建設物価調査会によると、2カ月連続で過去最高を更新している。 図表1 建築費は、年率6台から7台も上昇 特に、資材の物流や型枠などに携わる専門職の人件費の高騰の影響が大きく、当分の間、建築費の高値が続くのではないかという見方が強い。 分譲会社の経費・利益の上昇について (3)の分譲会社の経費・利益についても、働き方改革や賃金引き上げなどの圧力が強く、やはり上昇が続いている。 以上のように、(1)~(3)のいずれもが上昇しており、それをマンション分譲価格に転嫁せざるを得ないのが、現実だ。
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