マンション価格高騰の中で、デベロッパーが郊外の割安マンション開発を抑えている理由は?
「都心・駅近」の物件は増えるが「郊外」の物件は減る?
ただ、そのマンション開発への考え方は、エリアによって異なってくる。 マンションの立地を、「都心・駅近」「都心・駅遠」「郊外・駅近」「郊外・駅遠」「その他」の5エリアに分けて、マンション開発のための素地仕入れ戦略を聞いた同行の調査によると、図表3のようになった。 図表3 建築費の上昇による素地仕入れ戦略への影響 全体としては、マンション開発のための土地の仕入れを「増加させる」が29%で、「減少させる」が42%、「ほとんど影響ない」が29%と、「減少」が「増加」を13ポイントほど上回っている。建築費の高騰は、マンション開発のピッチを抑制させる方向に作用しているわけだ。 しかし、「都心・駅近」に限ると、関係は逆転する。「増加させる」が48%で、「減少させる」は13%に減って、「増加」が「減少」を35ポイントも上回っている。 建築費が上がっても、利便性の高い「都心・駅近」については、これからもマンション開発を増やしたいとするデベロッパーが多いわけだ。
「都心・駅近」はリセールバリューが高いため増加傾向
三菱UFJ信託銀行は、リリースのなかで、こう解説している。 「需要層が厚く消費者が価格上昇を受け入れやすい都心、とりわけ駅近立地にデベロッパーは新築分譲マンションの供給を集中させる動きが生じている」 つまり、都心の購入客には比較的高所得の世帯、金融資産の保有額が高い世帯が多く、そうした世帯が自己居住用の実需として高額マンションを求めるニーズが強く、多少価格が上がっても、購入意欲は変わらない。 また、実需以外にも、国内や国外からの投資目的の非実需などの需要層が厚いこともあって、価格が上昇しても、それだけ資産価値が高いエリアとして、ますます買われるようになる面があるというわけだ。 不動産データバンクの東京カンテイの「2023年中古マンションのリセールバリュー(首都圏)」では、首都圏の445駅のリセールバリューの平均は139.5%と、10年間で平均すると4割近く価値が上がっている。なかでも、JR山手線の沿線から内側の都心についてはほとんどのエリアで150%を超えていて、5割以上のアップとなっている。 だからこそ、多少高くなっても、高額所得者、富裕層は安心して都心の物件、特に利便性の高い都心・駅近物件を買うことになる。それを見込んで、デベロッパーもこのエリアでのマンション開発に力を入れざるを得ないわけだ。
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