マンション価格高騰の中で、デベロッパーが郊外の割安マンション開発を抑えている理由は?
東京都区部では1000万円前後の年収が必要に
しかし、不動産経済研究所によると、首都圏の新築マンションの平均価格は2023年度の平均で7566万円に達しており、なかでも東京都区部は1億464万円と1億円を超えており、平均的な会社員では簡単には手が届かない水準となっている。 多くの人は、マンション購入時には住宅ローンを利用するが、銀行では審査基準において、年間の住宅ローン返済額が年収の35%以内に収まることを審査基準としている。 たとえば、首都圏平均の7566万円のマンションを7000万円のローンを組んで購入するとすれば、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしだと、毎月返済額は約20万円になる。したがって、銀行の審査基準である返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を35%とすれば、年収677万円が必要になる。 返済負担率35%だと家計はかなり厳しくなるので、25%に抑えるとすれば、948万円の年収が求められる。 東京都区部では1億円を超えるので、9000万円のローンだと、返済負担率35%で871万円、返済負担率25%だと1219万円の年収が必要になる。
建築費上昇でデベロッパーの利益率が悪化
それだけに、いま以上に価格が上昇すると、消費者のマンション購買力の低下につながるのは避けられない。結果、新築マンションの売れ行きが鈍化する可能性が高い。分譲会社、デベロッパーとしては新築マンションの開発に慎重にならざるを得ないだろう。 事実、三菱UFJ信託銀行が、マンションデベロッパーを対象に実施した調査(図表2)では、建築費の上昇によって、38%が「粗利益率は低下している(3%以上)」としており、「粗利益率は低下している(3%未満)」25%と合わせると、利益率が悪化しているとする合計が63%と、ほぼ3社に2社に達している。 図表2 建築費上昇によりマンションの利益率は低下傾向 (単位:%) 今後、新築マンション価格がさらに上昇すれば、利益率の一段の悪化は避けられず、マンションデベロッパーとしては、新築マンションの開発にいっそう慎重にならざるを得ない。
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