相続人の確執に巻き込まれた世界遺産の邸宅をデジタルで復元! 内装はクリムト、設計はホフマン
さらに苦難はふりかかる。作業中に、ストックレー邸の相続人の弁護士から「相続人のプライバシーと知的財産権を侵害している」「作業を中止せよ」という内容の手紙が何通も届き、阻止するための訴訟まで起こされたのだ。最終的には、両者の弁護士が合意に達し、デジタル復元が許可された。3Dデジタルデータは今年1月から4月にかけてブリュッセルのArt & History Museumで開催された展覧会 「Stoclet 1911 - Restitution」で披露され、現在は市内のギャラリーで公開されている。 ベルギー政府は、ストックレー邸を公開させるために新たな施策を導入する予定だ。今年初めに可決された法律では、ユネスコ世界遺産に登録された建造物は、毎年数日間、公費による訪問を受け入れることが義務付けられる。ストックレー邸の公開を推進するブリュッセルの政治家、アン・パーソンズはこれが本格的な公開に繋がることを期待する。パーソンズは、「その場合、入場券は大人気になるでしょう。その日を楽しみにしています」と語った。
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