ダウン症のある娘のハワイ留学を決断。学校で「教育は保障されている」と言われ安堵の涙
「娘の教育は保障されている」に涙
ハワイ到着の翌朝、早速ドキドキしながら娘と一緒に現地の高校を訪問しました。入学手続きをしたいと伝え、8月の始業式まであと1ヵ月もないけれど、娘の受け入れが可能か、更にアメリカの特別支援教育が受けられるかどうかを尋ねた時のことは、まるで昨日のことのように思い出します。 学校とは、事前にメールで何度かコンタクトを取っていたこともあり、「待っていましたよ」と歓迎してくれました。たまたま通りがかったコーディネーターの方をすぐその場で紹介して下さり、そのコーディネーターも特別支援教育についてのミーティングをすぐその場で設定してくださいました。アメリカでは、学校にコーディネーターが常駐していて、生徒、保護者と学校、特別支援に関わる専門家や州の教育当局などとを繋いでくれる役割を担っています。こうして娘の入学手続きはトントン拍子で進んでいきました。 「あなたの娘の教育は、アメリカの法で保障されています」 学校のコーディネーターから、最初に言われたのがこの言葉でした。 日本では中学卒業と共に義務教育が終了し、娘のように障がいのある生徒は特別支援学校の高等部へ進み、3年後には卒業とともに9割が就労(就職か社会福祉施設等へ入所)しているのが現実です。 この先、娘の進路を考えた際、18歳で就労というのは、あまりにも早過ぎるのではないか……。通常よりゆっくり成長する娘だからこそ、もう少しゆっくり学べる教育の機会を与えてあげることができたら……と願っていたところ、アメリカでは高校までが義務教育であり、障がいがあってもなくても地域の通常の学校に通うことができ、さらに21歳まで適切な教育を無償で受けられる法律まであることがわかりました。そして、希望があればカレッジへの進学という道まで選択できるというのです。 学校が好きで、新しいことにもチャレンジする娘には、通常の子と同じように高校や大学生活を送る「進学」という選択肢があったらなあと思っていました。そんなこともあり、「あなたの娘の教育はアメリカの法で保障されています」という言葉を聞いたときには、それまでの様々な想いが込み上げてきて、淡々と当たり前のこととしてコーディネーターが説明される一方で、私自身は涙が溢れ出そうになるのを何度も必死で堪えていました。 後編では、アメリカの特別支援教育のしくみや、課外活動で娘も私も楽しんだ特別なダンスパーティーなどについて、お伝えしたいと思います。
長谷部 真奈見(フリーアナウンサー)