「より良い広告体験を提供するのがエージェンシー、あるいは掲載メディアすべての責務だ」: オプト ソリューション営業本部兼広告戦略・コミュニケーション本部執行役員 堤洋祐 氏
──貴社のアドフラウド対策を教えてほしい。
たとえば、外部ベンダーと提携し、ブランド毀損の可能性があるものやアドフラウドのリスクが高いドメイン情報は専門部署ですべて管理している。また、当社でも独自のメディアを選定し、基準に満たないメディアは除外する。さらに、各種アドベリフィケーションツールのベンダーと提携し、必要に応じて使い分けながら、広告主の広告掲載基準や意向に沿ったサービスを提案できる体制を整えている。 加えて、JIQDAQ認証を取得し、更新もクリア済みだ。業界団体が定めた共通基準やガイドラインをしっかり守りながらサービスを提供するべきだと考える。 言わずもがなだが、アドフラウドのような詐欺はゼロにはできない。技術革新が進んでいくなかで、犯罪者とのイタチごっこのような状況下にあるからだ。だからこそ、最新の事例をキャッチアップしながら、常に先手を打って対策していくことが重要になる。ブランドやパブリッシャーと情報交換などもしながら、業界内で連携し合うことも必要だろう。
──こうしたデジタル広告の環境について、消費者がリテラシーを高める必要もあるのだろうか?
確かに、消費者にも広告自体を見極めるリテラシーが必要だろう。ただし、消費者が年々巧妙になっている詐欺広告を見極めたり、不快な広告の表示を抑制したりすることは難しいため、パブリッシャーやプラットフォームサイドがしっかりと対策を講じなければいけない。消費者に責任を押し付けることはできないだろう。 業界関係者などと不適切な広告について話題にする際、「グレーな広告の出稿と達成すべき数字とのバランスが難しい」という話を聞く。ビジネスである以上、売上も大事ではあるのだが、不適切である可能性がある広告は出さないよう、警告していく必要があると感じる。この線引きも、業界の課題のひとつだ。 広告自体は、ユーザーにより良い体験をしてもらうものであるべきだと常々感じている。だからこそ、広告によって嫌な体験をすることは、結果的にデジタル広告の成長の阻害要因でしかない。広告業界にいる以上、少しでもそうした広告を減らしたいという気持ちは強く持っている。
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