ボルトレト、トップチェッカーも”不運”のペナルティで3位降着。アーロンがF2初優勝。宮田抜群タイヤマネジメントで10位|F2ルサイル戦フィーチャーレース
FIA F2の第13ラウンド、ルサイル戦のフィーチャーレースが行なわれ、ポール・アーロン(ハイテック)が優勝。宮田莉朋(ローディン)は10位だった。 【リザルト】FIA F2第13ラウンド ルサイル・フィーチャーレース:順位結果 FIA F2のフィーチャーレースは、当初現地時間の15時20分にスタートが切られる予定だった。しかしサポートレースとして行なわれたポルシェカップでクラッシュがあり、損傷したガードレールを修復した影響により、F2のフォーメーションラップは予定より15分遅れの15時35分にスタートした。 気温は21度、路面温度は28度というコンディションであった。 抜群のスタートを見せたのは、2番グリッドのガブリエル・ボルトレト(インヴィクタ)。ポールポジションのポール・アーロン(ハイテック)を一気に交わし、ホールショットを決めた。アーロンは蹴り出しが全く良くなく、後方のマシンに飲み込まれそうになったがなんとか2番手を死守。3番手にはこれがF2デビューラウンドであるディノ・ベガノビッチ(DAMS)が、ヴィクトー・マルタンス(ARTグランプリ)とのポジション争いを制して続いた。 多くのマシンがミディアムタイヤでスタートに挑んだが、序盤7番手につけたオリバー・ベアマン(プレマ)が、ハードタイヤでスタートに臨んだマシンの中で最上位であった。 タイヤ交換義務を消化できる最小限の周回数である6周が経過した段階で、ジャック・クロフォード(DAMS)らミディアムタイヤスタートの数人がピットに飛び込んだ。続く7周目終了時点では、2番手アーロンもピットに入った。 先頭ボルトレトは1周遅らせて8周目に入ることに。チームからは「プッシュして、次の周にピットインだ!」と無線で指示が飛んだ。 しかしまさにそのタイミングで、アンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ)がコースオフし、グラベル上にマシンを停めた。これでバーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言されることになった。 とばっちりを食らったのはボルトレトである。ボルトレトはピットに飛び込もうとしたが、VSCが宣言されたためにチームは「ステイアウト」を指示した。VSC中にタイヤ交換を行なっても、義務を消化したとはみなされないのだ。 ボルトレトはすでにピットレーン入り口にいたが、チームのステイアウトの指示を受けてコースに戻った。ただこの時ピットレーンの入り口のホワイトラインを跨いでコースに戻ったことで、5秒のタイム加算ペナルティが科されることになった。 その後VSCからセーフティカー(SC)に切り替えられたところで、ボルトレトはピットイン。幸いにもアーロンの前でコースに復帰することができたが、あまりにも痛いペナルティであった。 なおアントネッリはマシンストップの前に、ピットストップでアンセーフリリースをしたリチャード・フェルシュホー(MPモータースポーツ)とピットレーンで接触。この時にサスペンションを壊してしまったものとみられる。またフェルシュホーも左リヤタイヤをパンクさせてしまった。フェルシュホーにはこの接触により、10秒のタイム加算ペナルティが科された。 13周目からレース再開。各所で激しいバトルが展開されたが、クロフォードとラファエル・ヴィラゴメス(VAR)が接触。ヴィラゴメスがコース上にストップしたことで、またしてもセーフティカー出動となった。 17周目からレース再開。しかし再開直前の最終コーナーで、ハードタイヤでスタートし、まだタイヤを換えずに首位を走っていたベアマンが一瞬挙動を乱したところで、ジョシュア・デュルクセン(AIX)がオーバーテイクしてしまう。ただこれはまだオーバーテイクが許されていないレース再開前のことであり、デュルクセンとしてはポジションを戻さねばならなかった。 ただデュルクセンは上手くポジションを戻すことができず、ベアマンだけでなくクシュ・マイニ(インヴィクタ)やルーク・ブラウニング(ARTグランプリ)にも先行されてしまった。 実質的な首位に立っていたボルトレトは、まだピットストップを終えていないチームメイトのマイニの後ろに迫った。ボルトレトは5秒ペナルティを抱えている身であり、すぐにポジションを譲って、そしてマイニに後続を抑えさせるよう懇願。しかしマイニはこのタイミングでピットに入ってしまい、ボルトレトとしては援護射撃を受けられなかった。 ピットストップを遅らせていたベアマンとデュルクセンは、27周を終えた段階でようやくピットイン。これでボルトレトが首位に戻った。ベアマンは結局13番手までポジションを落とすことになった。 ボルトレトは最後まで全力の走りを披露し、トップでチェッカー。しかしアーロンとの差を1.9秒まで開くので精一杯。ペナルティを加算した結果、アーロンがルサイル戦のフィーチャーレースを制することになった。アーロンはこれでFIA F2初優勝ということになった。 2位にはアイザック・ハジャー(カンポス)、ボルトレトはオリバー・ゲーテ(カンポス)をほんの僅かに抑えて3位を手にした。 宮田莉朋(ローディン)はハードタイヤでスタートし、SC中にミディアムタイヤに交換。そのミディアムタイヤで長い距離を走り切ることを目指す、ギャンブル的な戦略を採った。宮田は抜群のタイヤマネジメント術を見せ、最後はペース的にはかなり苦しくなったものの、10位でフィニッシュ。貴重な1ポイントを手にした。 宮田は前日のスプリントレースを7位でフィニッシュしながらも、ペナルティにより入賞を失っており、それを取り返したような格好だ。
田中健一