「ハラスメントのない職場環境を」生協のスーパーでパート女性自死、和解成立で遺族側が会見
当初はパワハラ否定も、提訴後に謝罪と賠償の意向
労災認定後の今年1月、遺族側はユーコープに対し、約4800万円の損害賠償を求める裁判を、横浜地裁に起こした。 遺族側によると、ユーコープ側は当初、パワーハラスメントを否定しており、労災認定後もその見解を改めなかったが、遺族側の提訴後には“手のひらを返すように”安全配慮義務違反を認め、謝罪と賠償の意向を示したという。 しかし、遺族側は「本件はお金の問題ではなく、命の問題。二度と同じ被害者を出さないよう、十分な再発防止策が示されない限り和解をしない」と主張。 両者による複数回の協議の結果、ユーコープ側は下記の再発防止策の実施を遺族側に約束した。 ①再発防止策についての学習啓発 ②ハラスメント実態調査の実施 ③中央労働安全衛生委員会におけるハラスメント対策の継続的な効果検証 ④外部第三者による相談窓口の周知 この再発防止策について、川岸弁護士は「協議を重ねた結果、こちらの要求がおおむね受け入れられた」と評価する。 「当初、ユーコープ側はハラスメント対策や啓発活動を実施していると回答し、その中身として一般的なハラスメント対策を並べていましたが、それでは今回のような事件は防げません。 ですが、今回協議を重ねた結果、納得のいく再発防止策がまとめられたと思います。 ハラスメントを簡単に撲滅できるかというと、われわれもそう簡単ではないと考えています。 だからこそ、継続的な実態調査をし、対策の効果検証を行い、フィードバックをしていく必要があると思います」(川岸弁護士) 上記再発防止策の実施と、遺族に対する謝罪、ユーコープ側が全面的に安全配慮義務違反を認める前提での解決金の支払い(金額は非公開)をもって、和解が成立した。
ユーコープ「組織として、徹底した再発防止策に努める」
和解条項で示された、ユーコープ側の謝罪の文言は以下の通り。 「ユーコープの職場で起きたパワーハラスメントにより、当時従業員だった○○さん(編注:女性の名前)を追い詰め、取り返しのつかない結果を招いてしまいました。当時当該店舗で起きていたハラスメントに、組織として気づくことができず、故人を守ることが出来ませんでした。故人のご冥福をお祈りするとともに、故人並びにご家族に深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。 また、お亡くなりになってから、組織として謝罪に伺うまで、3年以上の長い年月をかけてしまいました。ご遺族には、ご家族の突然のご逝去による深い悲しみに加えて、つらく苦しい時間を過ごさせてしまいましたこと、重ねてお詫び申し上げます。 今後、組織として、徹底した再発防止策に務めることをお約束いたします」(原文ママ)