【Cycle*2024 ツール・ド・フランス2024 レースレポート:第11ステージ】ヨナス・ヴィンゲゴーが涙の復活ステージ優勝 先行したポガチャルを追い、マッチスプリントを制す「勝った瞬間に苦しかった時期を思い出した。とても感動的な勝利だよ!」
レースは最初から最後まで、慌ただしかった。リアルスタート直後から頻発するアタックは、どれも決め手に欠いて逃げグループの形成までに至らない。数人がわずかにリードする場面こそあれど、その先で集団に引き戻される。ときに、マイヨ・ジョーヌのポガチャルみずから先頭に立って、睨みを利かせる局面さえあった。
時速50kmに迫ろうかという勢いに、この日最初の登坂である4級山岳では20人近い選手が後方へと下がった。マーク・カヴェンディッシュ(アスタナカザクスタン)らスプリンター陣に混ざって、個人総合15位でスタートしていたペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)の姿まで。
この4級の上りでようやく逃げグループがまとまって、のちに飛び出した5人までを集団が容認。やがて10人となった先頭グループを、リーダーチームのUAEチームエミレーツが2分程度の差にとどめてレースをコントロール。最後の50kmにひしめく4つのカテゴリー山岳を前にして、主導権は完全にメイン集団が握っていた。
この日最難関の1級山岳ピュイ・マリー・パ・ド・ペイロル(登坂距離5.4km、平均勾配8.1%)に入ると、逃げはベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)とオイエル・ラスカノ(モビスター チーム)の2人となる。じきにラスカノが遅れて、先頭で粘っていたヒーリーも頂上手前1kmのところで集団が捕まえた。その頃には集団はアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ)の牽きで人数が絞られていて、もはや個人総合争いの趣き。そして頂上まで600m、ポガチャルが仕掛けた。
「チームメートがうまくコントロールしてくれたし、僕自身も余裕があったので早めに仕掛けてみようと思ったんだ」(タデイ・ポガチャル)
「あまりに強くてついていかなかった」とヴィンゲゴーがレース後に振り返ったように、ポガチャルのアタックは誰も追随できなかった。頂上に達した時点で、ポガチャルとヴィンゲゴーとのタイム差は10秒。一度ヴィンゲゴーに追いついたログリッチは頂上前に離されて7秒遅れで続く。レムコはテンポを維持して上り続けて30秒差。
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