加給年金の子ども加算が増額。一方で配偶者加給年金は縮小か【申請しないともらえないお金たち】
加給年金の見直しの方向性
2024年12月3日に開催された第22回社会保障審議会年金部会では、次代の社会を担う子どもの育ちを支援し、子を持つ年金受給者の保障を強化することを目的に「子ども加算の増額」が検討されました。 一方、女性の就業率の向上や共働き世帯の増加などにより配偶者加給の役割は小さくなると考えられることから、「配偶者加給の減額」も検討されています。 ●子ども加算の増額案 子ども加算の増額方法として、いくつかのプランが検討されています。 1つ目のプランは、3人目以降の子どもの加算の増額です。現在1人あたり7万8300円ですが、1人目・2人目の子どもと同じ23万4800円に増やそうとしています。 2つ目のプランは加給年金の受給要件の緩和です。現在は厚生年金20年以上の加入が要件ですが、「10年以上の加入」で子ども加算を受給できるように要件緩和を図ります。 また、これまで対象外であった老齢基礎年金受給者に、子ども加算を支給しようとする案もあります。 ●配偶者加算の減額 配偶者加算は、夫が会社員で妻が専業主婦というモデル世帯を前提として設けられた制度で、夫婦共働きが増えた現状とズレが生じています。 そのため、将来的に加算を減額する方向で検討されています。 ただし、女性の働き方は世代間で大きく異なることも考慮して、急激な減額にならないように経過措置を設けることや、現在受給中の加給年金は減額の対象としないことなども検討中です。
まとめにかえて
加給年金は、厚生年金に20年以上加入していた人が65歳になったとき、所定の要件を満たす配偶者や子どもがいる場合、老齢厚生年金に加算される年金です。 2024年度の財政検証を受けての年金制度見直しでは、配偶者に対する加算の減額と子どもに対する加算の増額が検討されています。 加給年金の見直しは受給額総額に対して影響が大きいため、改正内容に応じて老後資金計画の見直しが必要となるでしょう。
参考資料
・日本年金機構「加給年金額と振替加算」 ・厚生労働省「第22回社会保障審議会年金部会」2024年12月3日
西岡 秀泰