ロールス・ロイス創設者は120年後のEV「スペクター」を予言していた!? 夭逝の天才が遺した偉業と驚きの生涯を振り返ります
120年後を予言していた⁉︎
また、彼は他の誰もが気づかないことを見抜く生来の能力を持ち、その先見性は1900年に『モーターカー・ジャーナル』誌に寄稿した記事に完全に表現されている。 「電気自動車は完全にノイズレスでクリーンだ。においも振動もなく、固定式の充電ステーションができれば、非常に便利になるはずだ。しかし、今のところ、私は電気自動車がすぐに実用的になるとは思っていない。少なくとも、何年もかかるだろう」 実際、それから120年の時間がかかったが、ロールス・ロイス初の全電気自動車である「スペクター」の発表によって、この言葉は予言的であったことが証明された。 彼の残した遺産、すなわち大胆さ、想像力、そして常に大きく考え、より遠くへ進み、かつてないことに挑戦しようとする願望は、今日もなお、彼の名を冠した会社の中心で力強く、活力を与え続けている。 1世紀以上経った今も、ウェストサセックス州グッドウッドにあるロールス・ロイスの本拠地では、彼の想像力と勇気が生き続けている。 AMWノミカタ あるレポートによると、アメリカの化学者ウィリアム・モリソンの発明により1890年頃に最初の電気自動車がデビューしたという。彼が開発した最高時速14マイル(約23km/h)の6人乗り自動車は、電化されたワゴンにすぎなかったが、人々の電気自動車への関心を高めるきっかけとなった。 その後数年の間に、さまざまな自動車メーカーの電気自動車がアメリカ全土で登場するようになり、ニューヨークでは60台以上の電気タクシーが走っていたらしい。1900年までには、電気自動車は全盛期を迎え、道路を走る全車両の約3分の1を占めるようになった。その後10年間、電気自動車は好調な売れ行きを示し続けたという。 チャールズ・スチュワート・ロールズ卿が『モーターカー・ジャーナル』誌に寄稿したのはまさにその時期であるが、生粋のエンジニアである彼は、当時の電気自動車の問題点と優位点をかなり具体的に把握していたと思われる。その後、電気自動車は衰退し、ロールズの求める「完璧」な電気自動車を生み出すまでに120年の歳月が必要だった。ロールス・ロイス初の電気自動車であるスペクターは彼の残した意志が引き継がれ生まれた作品に違いない。 ■出典:"The History of the Electric Car", U.S. Department of Energy https://www.energy.gov/articles/history-electric-car
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