金星探査機「あかつき」の観測成果 JAXA会見(全文2)熱潮汐波の構造を解明
雲が太陽光を吸収
一方で、地球とちょっと比較をしてみましょうというスライドを用意いたしました。地球の場合は太陽の光が雲ではなく、皆さんご存じのとおり地面、あるいは海まで届きます。そうすると当然地面や海が温まって、大気に、太陽の光をまず地面が受け取ります。そのエネルギーがやがて大気に渡されて、大気の運動が駆動されるわけです。こちらにちょっと図のにぎやかしと思って「はやぶさ2」の絵などを持ってきたんですけれども、皆さん見ていただいて分かるとおり、地球の場合は海や陸地が見えるわけですね。これはまさに太陽の光が地面まで届いて、届いた光がさらに宇宙空間に出て行けるので、われわれ、このように宇宙から地球の姿が見えるわけですが、一方で金星を見て見ますと、お話があったとおりですが、金星は全球が雲に覆われています。しかも、この雲の厚さが30キロぐらいもあって、当然宇宙から金星を見ると地面が見えません。これが大きな違いとなっています。 地面の様子、実は少し写真があるのですけれども、この雲を抜けて地面まで降りなければ、当然その地面の様子がしっかり見られなかった。観測方法によっては地面の様子が見られるんですけれども、人間の目で見えるような光を使った限りにおいては、金星はこのように全部が雲に覆われたような惑星になってしまっています。 残る帰結として、Leeさんのほうから説明がございましたが、太陽の光のほとんどが雲によって吸収されてしまい、地面に届く光はほんのわずかになってしまっています。もう少し分かりやすいなと思ってデータを持ってきたんですけれども、これはアメリカの衛星、Pioneer Venusという探査機が得たデータで、横軸がある高度で、例えば太陽光パネルを置いたときに、太陽光パネルが受ける光の量だと思ってください。この横軸の値が大きければ大きいほど、太陽の光がさんさんと降り注いでいると。縦軸に太陽光パネルなり、計測器を置く高さを示しておりまして、この雲がある高さで、この横軸の太陽光のエネルギーというのが急激に下がっているのが皆さん、分かっていただけるかと思います。つまりこれは、雲が太陽の光を吸収していると、そういうことを示しています。