総フォロワー数520万人 ANAのSNS戦略! ショート動画でファンを拡大
SNSに力を入れ始めたきっかけと目的
航空業界は、コロナ禍で大きく環境が変わった。2020年度からの2~3年は、国内線も国際線も利用者が激減し、「お客様が10人で、フライトに同乗しているCAが10人ということもあった」(吉﨑氏)という。当然、売上が減り、利益も減る。必然的に、広告・宣伝費は大幅にカットされる。さほど費用のかからないSNSを強化するのは、当然の成り行きだった。 また、ANAはスタッフのおもてなしに自信を持っているが、コロナ禍によって顧客接点が減ってしまった。これを補うために、デジタルチャネルなどを通じてANAの良さをアピールしようというのが、SNS強化のもう一つの理由だ。
2021年にYouTubeとTikTokの公式アカウントを開設し、2022年4月にはInstagramを内製化して、YouTubeも2023年4月に内製化を開始した。強化を開始して、フォロワー数は順調に推移している。
“飛行機×風景”から“社員×親近感”へ
投稿内容も工夫をしている。具体的には、Instagramのプロフィールページの画面を見るとわかりやすい。
変化を一言でいうと、「“飛行機×風景”から“社員×親近感”へ」ということだ。以前は、いかにも航空会社をイメージさせる、飛行機や風景の写真を掲載していたが、最近は人にフォーカスしている。 ┌────────── 社員とお客様の接点が減ってしまったので、社員の顔や個性を伝える投稿で「ANAはこういう会社なんだな」と伝わることを目指しました(吉﨑氏) └──────────
ここで、吉﨑氏はInstagramに投稿したリールをいくつか紹介した。
最初に紹介されたのは、上図の3つのうち左側のサムネイルのリールで、CAが髪を自分でササッと結い上げている様子が撮影されている。このような動画を作ったきっかけは、あるクリエイターから「制服を着ている社員が別の世界の人に見える。もっと親近感を出した方がいい」といわれたことだ。そこで、お客様からは見えないところや仕事の裏側、社員が仕事外で話している様子などを投稿するようになったという。 真ん中のサムネイルのリールはさまざまな観光地でCAを撮影したシリーズもので、「旅行に行った気分になれる」動画。「旅行に行きたいな」と思わせる、販促につなげることが目的のコンテンツだ。 右側のサムネイルのリールは、親近感を抱いてもらうことを目的として、CAが“各地のお気に入りの食べ物”や“CAのあるある”を紹介している。