プロ野球CS開催…セ、パの足並みを揃えるべきか?
今季は、感染リスクのある移動を減らすために、セは関東圏、関西圏での集中開催、パは同一カード6連戦などのイレギュラーな日程を組んでいる。開幕からは西武とヤクルトが15試合をホームで戦う偏った日程になるなど、120試合制も含め異例の日程が、シーズンに、どのような影響を及ぼすかはわからない。掛布氏が指摘するようにCS争いがなければ独走するチームとのゲーム差が縮まらずシーズン終盤に消化試合が生まれてしまう危険性も考えられるだろう。 リーグ3連覇を狙う西武の辻監督も、「(影響は)わからないです。開幕の最初の3連戦は普通だが、そこからの2週間で6連戦ふたつある。気持ちがどうなるか。経験したことがないんでね。3連戦なら気分転換もできるが、同じチームと戦う難しさが出てくるかもしれません。大事に戦っていかなくちゃいかないと思う」と、すべてが未知のシーズンとなることへの不安を隠さなかった。 パだけがプレーオフを採用していた3年間では、当時、セのペナントレースを制した中日の監督だった落合博満氏が、日本シリーズの意義について、「日本一を決めるシリーズには、長いペナントレースを勝った優勝チームが出てきてもらいたい」と私見を述べたことがあった。もしパだけで、CSを採用すれば、日本シリーズの価値を問う議論が再燃してもおかしくない。 巨人OBでヤクルト、西武で監督を務めた”大御所”の広岡達朗氏のように「日本選手権 は、本来、レギュラーシーズンを制した優勝チーム同士で戦うもの。たった数日の試合で、143試合を勝ち切ったチームが日本選手権に出場できないのでは、日本選手権の意義がなくなる。CSなど中止にすべきだ」と主張する声もある。 掛布氏も「本来の姿に戻すべきという議論があってもおかしくない」と言う。 セ、パの足並みが揃わない背景には、屋外球場の雨天中止リスクだけでなく経営問題もある。当初予定の開幕から55試合が延期となり、開幕後も、当面、無観客開催となれば、チケット代や、球場での飲食、グッズ代などが入らずに大きく減収、球団経営に打撃を与えることは間違いない。 ただ、セは、巨人、阪神、広島など「剰余金」と呼ばれる利益を”金庫”に貯め込んでいて今回の経営危機を乗り越えられる体力のある球団が目立つが、パは、ここ数年、観客動員が増え、球団ビジネスが好転しているとはいえ、経営体力に不安のある球団が少なくない。ドル箱のCSを中止にするわけにはいかないのだ。 日程上は、もし雨天中止が増えてもダブルヘッダーなどを使えばセもレギュラーシーズンの消化は十分に可能のように思えるのだが… セ、パ揃ってのCSを楽しみにしていたファンにとっては残念な答えが導かれるのかもしれない。 また新型コロナの感染が終息していない中での船出には不安も残っている。