「家事バトル」を防ぐには?漫画家が語る、いい夫婦と家事の関係「これだけは許せないこと」
取材で知った令和OLのリアル
ひうら あと「ドラマで仕事帰りにバーのドアをバーンと開けて『ねえマスター聞いてよ! 』みたいなシーンがよくありますけど、あのバーってどこにあるんですか?」とか(笑)。他にも「私、仕事中はこうしてハキハキ喋りますけど、帰り道なんて疲れちゃって誰とも目を合わせませんし、話もしませんよ?」「まっすぐ家に帰って、ネット観て、缶ビール開けて、買ってきたお弁当を食べるだけ。どこかに寄る元気とかないです」と言われて。 渡辺 リアルな声が。 ひうら 確かに仕事を頑張っていたらそうなりますよね。私も独り暮らしをしていた時に賃貸物件を選ぶ際、「駅を降りて疲れない道のルート」をすごい考えましたもん。もはやスーパーに行くのすらしんどい、みたいな。スーパーってコンビニに比べて広いじゃないですか。 渡辺 わかります、スーパーは選択と決断の連続ですもんね。その点コンビニはめっちゃ良くできてます。選びやすい。 ひうら ですよね。私も独身の時は「仕事はバリバリするけど面倒くさいことはしたくない」タイプだったのに、『西園寺さん~』の連載が始まる頃は、もう子どもがいたので忘れていたんです。で、そういった現場の声も参考にしながら、西園寺一妃のキャラクターが出来上がっていきました。 渡辺 なるほど、だからリアリティーがあるんですね。
妻が分別してまとめたゴミを集積所に運ぶのは、家事ではなく「お手伝い」
西園寺さんは仕事ができる人間で性格も良い、仲間から愛される女性だ。しかし家事は得意ではないししたくもない。そして恋人ではなく同居しているのが、仕事仲間の楠見。実は彼は4歳の子どものいるシングルファーザーで、急遽家を出なければならなくなったところを、戸建てに暮らす西園寺さんが誘い、楠見、楠見の子ども・ルカ、西園寺さんの3人で分担して家事をやっているのである。 男性ならば家事をしなくても何も言われないが、女性の場合、どれだけ有能でも「家事をしない」ことがネガティブにとられる現実がある。おふたりは「家事」をどう捉えているのだろう? ひうら 家事って数値で計れないものですし、家の中には目に見えない家事がたくさんあります。男性がよく「僕はゴミ出しをしています」と言いますが、妻が分別してまとめたゴミを集積所に運ぶのは、家事ではなく「お手伝い」ですよね(笑)。 渡辺 お手伝い。本当にそうですね。 ひうら 西園寺さんは同居人である楠見と事あるごとに話し合っていますが、一般家庭の場合、監督するのは妻なんですよね。いちいち妻が采配をとって、しかも夫が苦手なことで傷ついた場合、そのケアもしないといけない。結果的に「そんな面倒くさいことをするなら最初から自分でやったほうが早い」となっちゃう。 渡辺 西園寺さんはアイデアをお互いに出し合って、困ったことをちゃんと言い合うじゃないですか。実はあれが難しいんですよね。 ひうら ですよね。もしかしたら西園寺さんの場合、他人だから言えるのかもしれません。楠見とは恋愛関係でもないので。 渡辺 なるほど、甘えすぎない。そこが気持ちいいんですね、読んでいて。 ひうら すっごいラブラブで結婚して、「家事はぜんぶ私一人でやる!」と張り切っていた子が、子どもが生まれた途端にダンナへの興味を失くし、それと同時に家事をしないダンナへの不満が増大、というカップルをよく見ました。結婚前はあんなに路上で抱き合ってクルクルしてたのに(笑)。現実はそうなんだなあって。