「半導体」前・後工程でニッチ攻める、芝浦メカトロニクスの戦略
AI半導体にニーズ
芝浦メカトロニクスは半導体の前工程、後工程ともにグローバル市場でニッチ分野を攻める戦略を推し進める。足元では人工知能(AI)の好影響を受け、業績を伸ばす。同社の担当者は「受注は好調だ。特に『2・5次元(2・5D)実装』などアドバンスドパッケージ(先進パッケージ)向けのボンダーが好調」という。今後もますます複雑になるAI半導体のニーズを新装置の投入で捉える。 芝浦メカトロニクスは2019年から同ボンダーを市場投入。半導体でAI需要が増える前から顧客に装置を納入しシェアを高め、AI需要の急増を捉えた。25年度も24年度と同等程度の受注を予想する。このほか、半導体チップとプリント配線基板の間をつなぐ再配線層を半導体工程で作る「ファンアウトウエハーレベルパッケージ(FOWLP)」向けのボンダーや、パネルレベルパッケージに適したボンダーも手がける。 今後の新装置では、インターポーザー(中間部材)の進化やより大型のパネルレベルパッケージを視野に入れる。 インターポーザーは現在主流のシリコンから、ガラスや樹脂基板の再配線層(RDL)インターポーザーへの変更が検討される。高価なシリコンよりも安い材料を使い、生産性を高めるためだ。インターポーザーの進化に合わせ、新規ボンダーを開発する。 また2・5D実装向けの大型パッケージに対応する新製品開発について、同社の担当者は「現在のパネルレベルパッケージの装置でも大きな基板には対応できる。より高精度にボンディングできる装置を開発する」と意気込む。 また、前工程では枚葉式高温リン酸エッチング装置が先端デバイス向けに好調で「今後はメモリー市場での展開も目指す」とする。 同社は33年度までに売上高1000億円以上(24年度は751億円の見込み)を目指している。既存製品の拡販とともに次世代品の開発・投入が大きなカギを握る。その中でもAIは飛躍の起爆剤になる。