74歳、ひとり暮らしの「すっきり台所」。食器も最小限、料理もシンプル
少ない台所でする料理もシンプル
私の台所を見ると、よく「料理はしないの?」と聞かれます。じつはそうかもしれませんね。正確に言えば、まともに料理らしい料理をしないのです。長年のひとり暮らしで来客もないので、もともと関心を持てずにいた料理にチャレンジしてみようと考える機会がなかったのです。 私にとって料理とは「人につくってもらうもの」であり、おいしいものはたま~の「外食!」という、そんな考えなのです。自宅での食事は、生食や、ゆでもの、簡単焼物がほとんどです。それも具材を幾つも混ぜずに、それぞれを単品で食べるのが好きなのです。古代人的だと思いませんか? ですから自ずと食器類も少なく、食器棚も不要というわけなのです。 ちょっと珍しいと思われるかもしれませんが、私はできるだけ文明の利器から離れた、古代人のような原始的食生活をしてみたいと思ってきました。古代人の生活に一種のロマンを感じているのです。近隣にある埋蔵文化センターが主催する「古代食を試食する」会では、遺跡である竪穴住居の周りで火おこしをして、鹿肉を黒曜石で切り分け、弥生式風手作り土器で煮込むというイベントで大いに興奮したものです。 ところで、炊飯器も持っていない私は、お鍋で二合ほどのご飯を炊いています。これだけはなぜだか初めから上手であり、焦がしたこともない唯一の「得意料理」でしたので、相性がいい! と思いながら長年お鍋で炊いてきたのです。 それが数年前、リサイクルショップで400円のレンジ対応小型炊飯器を見つけ、よく使いこなせなかった電子レンジとの紐づけに大いに納得して、このときばかりは迷わず買い求め、一合だけ炊くときはこれを使っています。 これからも、栄養にだけは充分配慮した食事の、素朴な楽しみを考え出したいと思っています。
小笠原洋子