“痔主”の6割は女性…冬こそ気をつけたい痔の対策 食べ物では「納豆」「乳酸菌食品」、習慣では「トイレは5分以内に」「毎日湯船につかる」
冬になると「冷えは万病のもと」とばかりに、誰もがかぜやインフルエンザの予防にはげむ。だが、「下半身の病」は、防ぎ方や治し方がわからないどころか、時には本人さえ知らぬ間に進行していく──。誰にも相談できない「痔」の対処法を知っておこう。専門家に聞いた「痔」対策に効果的な食品、習慣のランキングについても紹介する。 【一覧表】納豆や乳酸菌食品など、「痔」に効く最強の食品ランキング
ランキングは、以下の10人の「医師」「看護師」「管理栄養士」に、痔の予防と改善に役立つ「食品」と「生活習慣」を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点として集計。 ・朝倉博孝さん(埼玉医科大学医学部泌尿器科教授)・菊池真由子さん(管理栄養士)・麻生れいみさん(管理栄養士)・窪田徹矢さん(くぼたクリニック松戸五香院長)・清水加奈子さん(管理栄養士)・高澤直子さん(順天堂東京江東高齢者医療センター泌尿器科医)・西村かおるさん(排泄ケア専門看護師)・平田悠悟さん(平田肛門科医院副院長)・松島小百合さん(松島病院外来部門長、大腸肛門病専門医)・望月理恵子さん(管理栄養士、健康検定協会理事長)
おしりは絶対冷やさない
平田肛門科医院副院長の平田悠悟さんは「冷え」こそ、痔のいちばんの原因だと語る。 「冷えによって肛門付近の血流が悪くなったり、筋肉が硬くこわばることで痔を発症し、また悪化します。痔はもはや国民病ともいわれ、一説では日本人の3人に1人は痔を患っている。“痔は中高年男性の病気”というイメージがありますが、実際には男女差はなく、少なくとも当院の患者は6割が女性です」 痔は大きく3種類あり、男女ともに多いのが「いぼ痔(内痔核・外痔核)」だ。主におしりの血流が悪化したことが原因で肛門付近にうっ滞(血液の流れが滞っている状態)が起きるといぼ状のしこりができる。いきむことでもうっ滞するため、男性より便秘になりやすく出産もある女性は、いぼ痔になりやすい。 「悪化するとしこりが肛門から脱出しやすくなり、手で押し込まないと入らなくなります。最悪の場合『嵌頓痔核』といって、飛び出したいぼ痔で激しい痛みを伴うケースもあります」(平田さん・以下同) 女性に多い切れ痔(裂肛)は文字通り、粘膜が裂けた状態のこと。比較的治りやすい一方、繰り返しやすくもある。切れる痛みを恐れて便をがまんするとさらに便が硬くなり、硬くなった便を出すときに再び切れてしまうのだ。 そうして悪化した痔を治すには、手術が必要になる場合もある。 「医療機関や手術の種類によって異なりますが、いぼ痔の切除は1週間ほどの入院が必要になり、個室代や退院時処方などを含めた費用は約50万円。レーザーで焼き切る施術や注射もありますが、切除するより再発しやすい」 平田さんは「痔は生活習慣病」だと続ける。 「冷えや便秘、血行不良が主な原因なので、それらを招く生活習慣を根本的に正さなければ、どんな手術をしても再発する可能性があるでしょう。逆に言うと、生活習慣を整えることで改善が可能になる。当院では約9割の患者が手術せずに痔を治しています」