レクサス随一のハンドリングマシーンは、6速MTがよく似合う【LEXUS LBX MORIZO RR サーキット試乗】
回頭性と音の小気味良さが標準車とは明らかに異なる
走り出すと、まずは想像以上のボディの剛性感に唸らされたが、本当の驚きがもたらされたのは、コーナーに向けてハンドルを切り込んだ時のこと。まさしく一切の遅れ、曖昧さなしにノーズがインを向き始めて、思わず面食らってしまったのだ。 このまさに異次元と評せるレスポンスは、REDSの効果だろう。実際、通常こうした場面ではゴムブッシュより前に、アームがたわんでいるのだという。それを減衰しているのだから、効果も納得だ。 サスペンションは適度なストローク感があり、標準装着されるコンチネンタル コンチスポーツコンタクト7も接地感はしなやか。駆動力配分もフロント主体ということで、レスポンスは鋭いが挙動はピーキーではない。安定していて、しっかり刺激も味わえる、実に良いバランスと言える。 エンジンは実用域から力感十分で、かつ高回転域まで爽快に回り切る。AT仕様は変速ショックが小さく、この辺りもGRヤリスとは大きく異なるが、「SPORT」モードに入れればアクセルレスポンスが一層鋭くなり変速の切れ味も高まる。ちなみにMTにはモード切り替えはない。いつでも「SPORT」というわけである。 アクティブサウンドコントロールによってスピーカーから出力されるサウンドも気持ちを昂らせる。3気筒のネガを消すだけでなく、逆に旨味を強調した音色は、ついアクセルを踏ませるものだ。ベース車はレクサスLBXで車体自体は遮音が行き届いているから、雑味が少ないのも良い。 実はオプションとなる〝マークレビンソンプレミアムサラウンドサウンドシステム〟装着車では、トラクションコントロールをオフにすると音量がさらに高まる。これはヘルメット装着時を想定しているとのこと。サウンドはクルマと対話するうえで、大切な要素だという作り手の思いが感じられるところである。 LBX MORIZO RRは、とにかく走りを楽しめるクルマだ。しかも、それは大人のスポーツ性とでも表現したい上質な手触りで仕立てられたもので、きっと輸入車を乗り継いできたような層にも響くのではないだろうか。 価格は650万円から。内容からすれば決して高くはない。ただし、昨秋のLBX登場時に飛びついたユーザーのことを考えると、追ってこういうクルマが出るというアナウンスはあっても良かったのではないか、とは思うところである。(文:島下泰久/写真:永元秀和)
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