マイクロソフト・グーグル・アマゾンが「原発」に投資しまくる事情
生成AIの飛躍的な成長に伴い、データセンターの電力需要が急増している。それを見据えて投資に動いているのが、グーグルやマイクロソフト、アマゾンといった米ビッグテック企業だ。ここ最近、彼らが注力しているのが「原子力」である。マイクロソフトは、かつて深刻な事故が起きたスリーマイル島の原子力発電所を再稼働させる計画を発表し、一部の関係者を驚かせた。このまま日本は、世界的なAI競争で取り残されてしまうのだろうか。 【詳細な図や写真】図2:日本のエネルギー供給量は減少傾向にある
AIやデータセンターなどで電力需要がひっ迫
ChatGPTなどに代表される生成AI。世界を変える技術として期待を集めているが、膨大な電力を必要とすることも明らかになっている。こうした中、マイクロソフト、グーグル、アマゾンといったビッグテック企業がこぞって取り組むのが「原子力」だ。 日本を含む先進国では、この数十年、新たな原子力施設への投資はほとんど行われてこなかった。しかし、最近では米テック大手が、今後、長期間にわたり大量のエネルギーを安定して確保するため、原子力エネルギーへの投資を発表している。 ゴールドマンサックスが2024年4月28日に発表したレポート『AIと電力:データセンターとこれからの米国の電力需要の急増』によると、2023年から2030年にかけて、データセンターの電力需要は年平均15%の成長率で増加し、2030年までにデータセンターの電力消費は2020年の水準と比べて3倍以上に達すると指摘されている(図1)。 AIの普及による電力消費の急増が、データセンターの成長を一層加速させる。AIサーバは従来のサーバに比べて6倍から10倍の電力を消費するとされており、これが電力需要の急速な増加に拍車をかけている。たとえば、ChatGPTの検索クエリは従来のGoogle検索と比べて約10倍の電力を消費するとされている。この傾向が続けば、データセンターの電力需要は2030年までに2.4倍に増加する可能性がある(同レポートより)