更年期に多い動悸は、貧血や心臓病も疑って!【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ⑤】
更年期世代にとって、突然ドキドキと鼓動を打つ動悸は、エストロゲンの変動との関連が考えられている。しかしながら、その裏に貧血や心臓病が隠れていることがある。それを見逃さないポイントを、女性医学の専門医である小川真里子さんに伺った。
更年期の動悸はすぐに治まりますが、長びく場合は一度検査を!
普段、心臓の鼓動は感じられないが、動悸とは脈がドキドキと強く感じたり、心臓が一瞬止まるような、つまずいて脈が飛ぶように感じることをいう。 「動悸は、更年期によく現れる症状のひとつですが、はっきりとした原因はわかっていません。更年期の症状として多いのが、夜寝ているときに突然、鼓動がドキドキして目が覚めるケース。しかしだいたい短時間で落ち着きます」(小川先生) 動悸を感じたときは、まず深い腹式呼吸を行うといいそう。鼻から大きく息を吸い、ゆっくりと時間をかけて吐き出す。これを何回か繰り返してリラックスする。 一方で、動悸の症状がある場合には、貧血を疑ってみるべきだと小川先生。
「閉経が近づいてくると、月経周期が乱れて、短い周期で訪れる頻発月経や出血量が増える過多月経になる人がいます。出血量が増えると貧血(鉄欠乏性貧血)が起きやすくなります。 ほかに、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮がんなどでも出血が多くなることがあります。 貧血の診断基準ではヘモグロビン値が正常範囲でも、体内の貯蓄鉄フェリチンが不足している『隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)』の場合もあります。貧血になると、酸素を体中へ十分に巡らせることができないので、心臓が脈を早めます。これを動悸と感じることがあります。 貧血が疑われる場合は血液検査を行い、鉄不足が確認されれば鉄剤などが処方されます。出血が多い場合は、婦人科で月経をコントロールする治療を行うことも。子宮内に装着して黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する、ミレーナという薬を使用するのもいいでしょう」 鉄分不足には日頃から鉄分の多い食材を意識的にとることも大切。鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄がある。 ヘム鉄はレバーや赤身の肉や魚に多く、非ヘム鉄は野菜や豆類、穀物、海藻に多く含まれます。吸収率はヘム鉄のほうが高く、非ヘム鉄をとる場合はビタミンCや、肉などの動物性タンパク質と一緒にとると吸収率が高まる。