更年期に多い動悸は、貧血や心臓病も疑って!【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ⑤】
不整脈のこともあるので要注意!
一方で危険な動悸もある。それは不整脈だ。 「更年期症状による動悸はだいたい短時間で治るのが特徴です。一方で、30分や何時間も続く場合や、脈が飛んだり胸部に圧迫感、めまいなどを伴う場合は不整脈や心疾患の可能性があります。 心臓は1分間に60~70拍くらいで規則的に収縮します。一方でこのリズムがくずれる状態を総称して不整脈と呼んでいます。長びく動悸や息切れ、めまいがあるようなら内科を受診してください。 内科では、必要に応じて心電図検査に加え、胸部X線、血液検査、ホルター心電図検査※1、運動負荷検査※2、心臓超音波検査※3などを行います」 ※1:ホルター心電図検査は携帯式の心電計をつけて帰宅し、体を動かしているとき、安静時、寝ているときにどう変化するかをみる検査。 ※2:運動負荷検査は階段を上り下りしたり、歩行や自転車こぎなどの運動時にどのように不整脈が生じるか、狭心症の症状が出るかなどをチェックする。 ※3:心臓超音波検査は心臓の形や動きを診て、心臓の病気を判別する検査。 「不整脈の治療は薬物療法を中心に行い、必要に応じて心臓ペースメーカー、埋込み型除細動器、カテーテルアブレーション※4などの治療を行うこともあります。 不整脈を放置していると、将来的に心臓の機能が低下する心不全に進行することがあります。こうなるとQOL(生活の質)が著しく低下するので、早い段階できちんと治療することが大切です」 ※4:カテーテルアブレーションは異常な部分にカテーテルを用いて、不整脈を抑える手術の一種。
【教えてくれたのは】 小川真里子さん 産婦人科医、医学博士。福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授。日本産科婦人科学会・日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。専門は更年期医療学、女性心身医学、女性ヘルスケア。相談やカウンセリングを中心としたケアサポートとともに、最新のテクノロジーや視点を取り入れて、更年期を取り巻く環境や文化を積極的にアップデート。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/山村浩子