記録に残らないミス…横浜DeNA戦の惜敗で浮き彫りになった2年目”与田竜”の課題
山本は、広報を通じた談話で、「自分のミスで失点してしまった。防げる失点を防がないとこのような結果になってしまうのでしっかり反省していきたい」と悔やんだ。打者走者が井納だったことを考慮すれば、山本も慌てずに、ワンテンポ置き、阿部が二塁ベースに入るのを確認してから送球するべきだった。おそらく山本は、阿部と二塁ベースの距離感をつかめていなかったのだろう。いずれにしろコミュニケーション不足。小さなミスが2つ重なってヒットなしで同点を許してしまったのである。 与田監督も「守備隊形もダブルプレーを取れるような状況だった。内野手も何とかカバーしようとしていたが、打者走者がピッチャーの井納だったので、(山本も)内野手の位置を確認して投げるわけなので、ワンテンポ置くとか、阿部も何とかカバーしてあげないといけなかったところもあると思う。そこはまた次の経験として生かして欲しい」と、2人に教訓を与えた。 新型コロナによる全体練習の自粛で、チームプレーに時間を割けなかった影響がこんなところにも及んだのかもしれない。しかし結果的にミスで献上した、この1点が、後々、勝敗に響くことになる。 与田監督は、この日、打線を動かした。不振の平田に替え、遠藤を2番に入れ、アルモンテを3試合ぶりに3番に戻した。好調の大島、高橋、京田を線に結びつけたかったのだが、皮肉にも、その2人がブレーキになった。しかし、打線は、あくまでも“水物”。むしろ問題は、8回まで2度あった走者三塁の場面を生かせなかったことにある。 沖縄キャンプで、与田監督と話をしたとき、「打者は打っても3割です。残りの7割をどう得点に結びつけていくのか。その7割の凡退に意味を持たせたい」という今季の課題を口にしていた。より深みの増す野球を与田監督はチームに求めていた。 この日、それを試されるシーンが2度訪れたのだ。 4回に阿部、京田の連打で無死一、三塁のチャンス。続く加藤はカウント1-0からセーフティースクイズを仕掛けた。だが、ファウル…加藤は三振に倒れている。まだ何か仕掛けることのできる場面が残ったが、打者は投手の山本。その山本は一塁へのバントを決めたが、今度は三塁走者がスタートを切っておらず、二、三塁にする送りバントという形になった。そういうサインだったのか、三塁走者の見逃しだったのかわからないが、好調の大島の前に走者を残しておく作戦だったのかもしれない。だが、一塁を空けたことで、大島は申告敬遠され、期待の遠藤は三振に倒れた。