一青窈さんが問う「闇バイトや無敵の人」犯罪の深層 犯罪心理学者・出口保行さんを訪ねて【後編】
出口:もちろんそう思います。正直言って、刑務所の中には憎たらしいことを言う人がいっぱいいます。心理学で「好訴性」という言葉があるのですが、「一日一訴」と言って、一日一回何かを訴えないと気がすまないような人もいます。そんな人は、何を言っても訴えるから、やっかいに思うことがあります。 ただ、それでも愛情を持って接していると、「実は先生…」と話してくれるときが必ずくる。いきなり、ポロッと出てくる。そのタイミングは、ずっと続けていてこそ訪れるものだから、人間を愛すべき存在だと思っていないと絶対に無理だと思います。
一青:人間はオギャーと生まれてきてから、人とかかわらずに生きていくことはできないから、人に対して関心を持って愛情を注いでいくために心理学の重要性を実感し、犯罪を未然に防ぐために想像力が大切であることを再認識することができました。 そうは言っても、人間とは今日は気をつけることができても、明日には忘れてしまうような生き物でもあるから、日々誰かの言葉と真剣に向き合うことが大切で、そうすれば、大きく道を外すことはないと勇気づけられました。
自分の言葉が届かずに絶望しているときもありましたが、あきらめずに歌を通じて人に届く言葉を書いていきたいと、今日改めて強く思いました。 →→【前編:「人はなぜ犯罪を犯すの?」一青窈が専門家に聞く】
川下 和彦 :クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト