自力V消滅ピンチの巨人が冒した記録に残らないミス
首位追撃を狙っている巨人が急転、自力V消滅のピンチだ。9日、甲子園で行われた阪神ー巨人戦は、3-3のまま延長戦にもつれこむ接戦となったが、延長11回にマシソンがマートンにサヨナラタイムリーを浴びて、サヨナラ負け。首位阪神とのゲーム差は「3」に広がった。今日、10日の阪神戦に敗れると、残り試合の少ない巨人は、早くも自力Vが消滅することになった。 一進一退のゲームの流れをつかんだのは巨人だった。 先発のマイコラスが二回に先取点を許したが、4回に二死一、三塁から小林が打ち取られたボテボテのピッチャーゴロを藤浪が一塁へまさかの悪送球。阪神の草野球レベルのミスで同点にすると、7回二死一塁から4番の阿部が、藤浪のストレートを捉え、ライトスタンドへ目の覚めるような勝ち越しの2ラン。コンディション不良で登録抹消されて3週間ぶりの先発だったとはいえ、マイコラスの対阪神戦の数字は、3勝0敗、防御率が0.93。2点のアドバンテージは、勝負ありの2点だったはずである。 だが、ここから巨人が隠れた守備のミスを冒してしまう。 7回、先頭の福留をセンター前ヒットで出塁させると、ゴメスの初球にマイコラスが痛恨のボーク。「セットポジションでの静止がなかった」と判断された。これが、一つ目のミス。メンタルの隙から生まれたミスで得点圏に走者を背負うと、不振のゴメスに右中間へタイムリーを運ばれた。ここで二つ目のミスが起きる。 「打球を処理した長野が、ゴメスの足を甘く見て走らないと考えていたのか、少し打球に対して余裕を持って回り込み過ぎた。二塁をケアして処理にきていれば一塁止まりだっただろう」と、阪神DCで評論家の掛布雅之氏が指摘するライトの長野の打球処理のミスだ。記録は、ゴメスのタイムリー二塁打となったが、長野の油断を見せたプレーで、さらに無死二塁と、同点の走者を得点圏に進めさせてしまったのだ。 そして、三つ目の記録の残らない守備のミスが、続く今成のバント処理で出てしまう。阪神ベンチは、二塁のゴメスを手堅くバントで送ってきたが、今成のそれは、チャージをかけてきた阿部の正面にゴロが転がり、完全に三塁アウトのタイミングだったのだ。しかし阿部は判断を誤り、三塁へは投げなかった。 一死三塁から伊藤隼には、初球のインハイのストレートを余裕でライトへ運ばれ、それが同点犠飛となり、延長11回のサヨナラ負けへとつながっていくのである。