「カラダの相性」は本当に存在する?性生活にまつわる素朴な疑問、専門家の答えとは
異なる性的嗜好
でも、相手の性的嗜好をいいと思えないどころか嫌な場合、どうしたらいいのだろうか。「もちろん、嫌だと思う気持ちは止められません。喜びや悲しみ同様、意志で左右できない感情なのですから」と哲学者のアレクサンドル・ラクロワは認める。ただ、相手の性的嗜好にどの程度重きを置くかは自由だ。「気にしだすと失望やイライラが募るばかりです。これも嗜好のひとつと軽く受け止められれば、互いに楽しめることも探そうと前向きな気持ちになれるかもしれません」と哲学者は発想の転換を説く。ただし妥協はしないこと。性科学者のジャイヤ・マに言わせると、「妥協の半分は恨みで構成されている」そうだ。哲学者のアレクサンドル・ラクロワも「妥協は駆け引きや譲歩を伴い、当たり障りのない結果しかもたらさない」と否定的だ。 結論として、セックス相性が悪い人は存在しないということだろうか。理論上はそうだ。ただし実際はトラウマがあって受け入れられない場合もある。「性的アイデンティティというものはすべからく、自らの妄想や実体験、過去の出来事、そしてトラウマと結びついています。だからたとえ意思があってもどんな性的体験でも受け入れられるということではないのです」と哲学者のアレクサンドル・ラクロワは指摘する。抵抗感が薄れるには時間と相手への信頼が必要だ。「それは何カ月も何年もかかるかもしれません。ですが愛とはトラウマも含めて相手を愛することでもあるのです」とアレクサンドル・ラクロワは締めくくった。
text : Camille Lamblaut (madame.lefigaro.fr)