廃業予定の八百屋を買い取ってアップデート バイト出身の経営者が挑んだ拡大戦略と組織改革
「町田で一番有名な八百屋」を目指して
コロナ禍が明けたいま、若月さんが課題としているのが組織マネジメントです。店長から経営者になり、仕入れや人件費、店舗運営など、販売以外の仕事と悪戦苦闘してきました。その都度、商工会議所などに専門家を紹介してもらい、相談にのってもらいながら手探りでやってきました。 今は、本店と町田駅前店に加え、飲食店への卸売りやコンビニ販売、そしてジュース販売と多彩な事業を展開しています。 「今後、各部門がそれぞれ、どれだけ利益が上げられているのかを把握しようとしています。この夏から部門別に予算を組み、責任者を立てて管理する仕組みを作りました。税理士事務所に任せきりだった経理も、社内で月次決算ができるように変えました」 店舗を継いですぐにコロナ禍が訪れたこともあり、売り上げは通常時に戻りました。巣ごもり需要に合わせて先行投資しすぎた反省点などを、いま見直しているところです。 急速な円安で輸入フルーツは値上がりしていますが、やさいのナイトウは国産フルーツを得意にしていたこともあり、ポジティブに捉えています。 先代から引き継いだ、地方の農家とのつながりも大切にしており、若月さん自身、定期的に日本全国の農家を回っています。 目指すのは「町田で一番有名な八百屋」です。先代が作った店の名前を広めるために、従業員教育に力を入れています。「お客さんと相対して販売する。これはスーパーなどにはできない強みだと思っています」 やさいのナイトウの経営理念は、先代のころから変わらず「味と鮮度」です。若月さんはこの軸を守りながら、会社を成長させようとしています。
フリーランスライター・コヤマタカヒロ