日本の歌を日本語で涙、ダウン症のある娘と見学したペルーの日系人学校での出来事
待望の第一子の誕生直後に、ダウン症と知らされたフリーアナウンサーの長谷部真奈見さん。「娘にダウン症がある」という事実を出産当時は受け入れることができず、誰にも明かせないまま、自殺を考えるほど思いつめ悩んだ時期もあったという。そして、16年の月日が経ち、長谷部さんは、16歳になった娘さんとの出来事や家族との楽しい日々をブログなどで積極的に発信している。 【写真】ダウン症のある娘が日系ペルー人の友だちと再会!そして、学校で感動の出来事 そんな長谷部さん一家は、娘さんの中学卒業を機に4月半ばから約2ヵ月かけて、家族で世界一周という大きなチャレンジをした。 「ダウン症のある娘といっしょの旅は、健康面での不安も大きかった」という。実際に、ボリビアでは高山病にも見舞われた。しかし、長谷部さんの心配をよそに、「驚くほど旅に順応する娘の姿に驚きや気づきがとても多かった」と語る。第4回目ではボリビアからペルーに移り、ブチキレながらも世界遺産のマチュピチュを制覇した娘さんの姿を前編『ダウン症のある娘が、マチュピチュ遺跡の3時間往路でブチキレながらも笑顔になった理由』でお伝えした。後編では、ペルーの日系人学校を訪れ、そこで体感した感動の出来事についてお伝えする。
友だちと再会。娘にとって最高の時間
南米ペルーには、マチュピチュの他にも、ナスカの地上絵、クスコ市街など有数の世界遺産があり、滞在中は毎日が世界遺産だったが、娘にとってペルーが一番楽しかった理由は、どんな世界遺産でもなく、お友だちと楽しい時間を過ごせたことだった。 マチュピチュ観光を終えた翌朝、クスコから飛行機で約1時間半、リマへ到着。 空港で出迎えてくれたのは、お友だちの“のんちゃん”親子。2019年夏、ディズニー「バルト海クルーズ」の船上で出会って仲良くなって以来、5年ぶりの再会だった。 娘はとても嬉しそうに、マチュピチュの疲れも、移動の疲れも全く見せず、この日は夜までのんちゃんと一緒にトランポリンで遊ぶなど、文字通り遊び回った。のんちゃん親子が、普段よく行くショッピングセンターや、アミューズメント施設、日々の食料を調達している市場の中まで案内してくれた。豚や鶏、モルモットなどが吊るされている様子は、普段の娘なら怖くて嫌がり、一歩たりとも近づけないところだが、友だちと一緒なら何を見ても楽しい様子。「わ~!くちばしが~!かわいそう~!!」とのんちゃんと繋いだ手をはなさず、興味津々に見て回っていた。 のんちゃんはスペイン語を主に話すため、娘との会話は翻訳デバイス(ポケトーク)を使っていた。しかし言葉や文化の違いはもちろん、5年という月日まで、あらゆる壁を一瞬にして越えてしまう子どもたちの姿を見ていると、“そもそも壁などないのだ”、という当たり前のことに気付かされる。そして、やはり子どもは子ども同士でコミュニケーションをとることで学ぶことの方が多い。国籍も障がいの有無も関係なく、共にこうして学び合い、育ち合うのが一番だと感じた。