スニーカーブランド「ヴェジャ」が広告費をかけずに成長を続ける理由
サステナビリティとデザイン性、ビジネス成長を両立してみせるのがフランス発のスニーカーブランド「ヴェジャ(VEJA)」だ。人気モデルの“V-10”はアッパーにVの字をあしらった一見シンプルなスニーカーだが、その一足には消費をポジティブな力に変えるためのさまざまな工夫が凝らされている。 【画像】スニーカーブランド「ヴェジャ」が広告費をかけずに成長を続ける理由
創業者のフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)とセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)は、「自分たちの世代を象徴するアイテムであるスニーカーでオルタナティブなモノづくりを実践したい」と2004年に同ブランドを立ち上げた。ブランド名はポルトガル語で“見る”を意味する。欧米を中心にビジネスを広げ、累計の製品販売数は1400万足にのぼる。このほど来日したモリィヨン共同創業者は、今後日本での存在感をより高めていきたいと意気込む。モリィヨンに「ヴェジャ」の独自性を聞いた。
WWD:「ヴェジャ」は創業当初から広告費用をかけず、生産者の賃金と生産工程の改革に多くを投資する方法を貫いてきた。オーガニックで成長できた強みをどう分析する?
フランソワ・ギラン・モリィヨン(以下、モリィヨン):第一にスタイルだ。一般的にサステナブルだからという理由で商品を購入する人はほとんどいない。お客さんとの最初の接点はあくまでビジュアルだと強く意識している。自分たちは広告を通して消費欲求を喚起しない分、よりシビアに人々が直感的に欲しくなるデザインを追求している。もちろん、初めからそれができたわけではなく、周りのフィードバッグも得ながら何度も修正を重ねてきた。
WWD:「ヴェジャ」のスタイルはファッション業界内でもファンが多く、さまざまな有名ブランドとのコラボレーションも実現している。
モリィヨン:私たちが尊敬するアニエス・ベーが最初のコラボ先だった。今ではコラボ事例は100以上ある。以前「ヴェジャ」のECサイトで何足も商品を購入してくれる人がいて、チーム内で「毎回熱心に買ってくれるこの人は誰だろう」と話していた。そうしたらその人物がリック・オウエンスだと分かった時には驚いた。その後、彼のチームから正式なオファーをもらってコラボが実現した。