元宝塚・加茂さくらさん「肺がん」で逝去 発症しやすい年齢や死亡率を医師が解説
女優で宝塚歌劇団でも活躍した加茂さくらさんが、20日に肺がんのために逝去したことが報じられています。87歳でした。 【イラスト解説】意外と見逃しがちな「肺がん」の初期症状3選 肺がんの罹患数は、男女ともに年齢が上がるほど増える傾向があります。そこで肺がんになりやすい年齢や罹患率、死亡率などについて、医師の武井智昭先生に解説していただきました。
肺がんとは
肺は呼吸を行うための器官で、左右の胸部に1つずつあり、気管・気管支・肺胞から構成されています。肺がんは、肺の正常な細胞が何らかの原因でがん化したものです。 肺がんで命を落とす方は年間約7万5千人を超え、これはすべてのがんのなかでも決して少ない数値とはいえません。 肺がんは進行するにつれて、周囲の組織を破壊しながら増殖する性質があり、リンパ節や反対側の肺、骨、脳、肝臓、副腎などに転移することもあります。そのため、注意が必要です。肺がんの罹患率は年々増加しており、早期発見のためには定期検診が欠かせません。 「非小細胞肺がん」 肺がんは、治療の効きやすさや進行速度の違いから、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に大別されます。非小細胞肺がんは、肺がん全体の約8~9割を占め、さらに腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんなどに分類されます。 このうち、肺がん全体の約5~6割を占めるのが腺がん、次いで多いのが全体の約3割を占める扁平上皮がんです。 腺がんは末梢部分に生じることが多いとされておりますが、症例により異なります。これに比べて、扁平上皮がんは肺門部に発生しやすく、咳や血痰などの症状が現れやすいかもしれません。 「小細胞肺がん」 小細胞肺がんは、肺がんの約10~15%の確率で発症する病気です。 転移が速く、部位によって骨転移による疼痛・ホルモンを異常に産生する内分泌異常(クッシング症候群、SIADH)・下腿を中心とした筋力低下(Lambert-Eaton症候群)など、いろいろな症状が現れるでしょう。 また、進行が極めて速いため、迅速な診断と早期の治療開始が必要な点にも注意してください。 特徴としては喫煙者の男性に多く見られ、増殖が早く転移しやすく、抗がん剤や放射線に対する感受性が高いことが挙げられます。さらに、肺の入り口である肺門近くに多く発症するため肺門型肺がんとも呼ばれ、血痰が出ることも特徴的です。