元宝塚・加茂さくらさん「肺がん」で逝去 発症しやすい年齢や死亡率を医師が解説
肺がんになりやすい年齢
肺がんになりやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか。以下に、肺がんの患者さんが増えやすい年齢や男女差についてまとめました。 「肺がんの患者さんが増えてくる年齢」 肺がんの罹患数は、男女ともに年齢が上がるほど罹患率が高くなる傾向があります。特に60歳以降になると急激に増加し、70歳以上ではその増加が顕著です。 男性の場合、40歳以上では胃がん・大腸がん・肝臓がんなどの消化器系がんが約5~6割を占めますが、70歳以上になると肺がんと前立腺がんの割合が大きくなります。女性の場合は、50歳代から肺がんと消化器系のがんが増え始めます。 「男女差」 国立がん研究センターの統計によると、2019年度の肺がんの罹患数は126,548例で、全がんのなかで3番目に多いことが報告されています。 そのうち、男性は84,325例、女性は42,221例と、男性の方が女性の約2倍多いのです。男性の場合、70歳以上で肺がんの罹患率が急増し、80歳以降も増加が続いています。 一方、女性では40歳代で乳がん・子宮がん・卵巣がんなど女性特有のがんが約7割を占めますが、閉経を迎える50歳代を境にその割合が減少します。
年齢階級別の罹患率・死亡率
肺がんは、罹患率・死亡率ともに年々増加している肺の病気です。国立がん研究センターの2019年度のデータをもとに、肺がんの年齢階級別罹患率と死亡率をまとめました。 「年齢階級別罹患率」 男性も女性も50歳を境に肺がんの罹患率が増え始め、60歳以降は年齢が上がるにつれてさらに罹患率が上昇していきます。2019年度の年齢階級別罹患率では、男女ともに95歳でピークを迎えました。 男性の具体的な罹患率の推移は、65歳で290.2、75歳で540.2、85歳で644.7、95歳で703.4と、右肩上がりの傾向を示しています。一方、女性は65歳で113.4、75歳で195.1、85歳で205.9、95歳で239.8と、70歳以降はほぼ横ばいの状態であることがわかります。 「年齢階級別死亡率」 2020年に肺がんで亡くなった人は75,585人(男性53,247人、女性22,338人)でした。肺がんの年齢階級別死亡率は男女ともに60歳から増え始めますが、男性は70歳から、女性は80歳から急増しています。男性の肺がんによる死亡数は54,247人と、ほかのがん種と比べても特に多く、部位別がんの死亡原因としては第1位です。女性の場合も大腸がんに次いで多く、22,338人が肺がんで亡くなっています。