グリーンランド首相、デンマークからの独立の必要性強調
[コペンハーゲン 3日 ロイター] - デンマーク自治領グリーンランドのエーエデ自治政府首相は新年の演説で、デンマークからの独立を目指す意向を強調し、従来の姿勢を大きく転換した。 トランプ次期米大統領は昨年末、グリーンランドを購入することへの関心を再度表明し、エーエデ首相は「売り物ではなく、決して売らない」と拒否した経緯がある。エーエデ氏は今回の演説ではトランプ氏に言及しなかった。 エーエデ氏は演説で「われわれ自身で行動を起こし、われわれの未来を形作っていくべき時だ。だれと緊密に協力するか、だれがわれわれの貿易相手なのかに関してもそうだ」と述べ、他国との協力を強化したい意向も示した。 デンマーク当局が1960年代にグリーンランドで強制産児制限を行うなど、20世紀に非道な行為を行っていた実態が明るみに出たことなどから、グリーンランドでは近年、独立の機運が高まっている。 グリーンランドは1953年までデンマークの植民地で、現在は自治領。2009年に、投票を通じて独立を主張できる権利を獲得し、23年には自治政府が初めて作成した憲法草案を公表している。 エーエデ首相は「歴史と現在の環境は、われわれのデンマーク王国への協力が完全な平等の創出につながらなかったことを示している」と指摘。諸外国との協力に障害があるのは「植民地主義の手かせ」だとし、その障害を取り除くべく行動を起こす必要性を訴えた。 独立の是非を決めるのはグリーンランドの人々だとも述べたが、投票の時期には言及しなかった。 グリーンランド住民5万7000人の過半数が独立を支持しているが、独立の時期と、独立が生活水準に及ぼす影響を巡っては意見が分かれている。