【選手権】2度目のV狙う流通経済大柏と初出場の東海大相模がファイナルを目指す
1月11日、第103回全国高校サッカー選手権大会の準決勝が国立競技場で行われる。14時20分キックオフとなる第2試合では07年度以来2度目の優勝を目指す流通経済大柏と、初出場で初の戴冠奪取を試みる東海大相模が顔を合わせる。 今大会において優勝候補の一角と目されてきた流通経済大柏は準々決勝まで磐石の試合運びを見せてきた。初戦となった2回戦で昨季8強の佐賀東を5-0で下すと、3回戦では高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 ファイナル王者の大津を撃破。序盤戦の大一番となったなかで強度の高い守備とショートカウンターで勝機を引き寄せ、2-1で勝ち切った。準々決勝では上田西を8-0で破り、準優勝を果たした18年度以来となるベスト4進出を決めた。今季のチームは春先から好調をキープし、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTでも序盤戦は首位を走り、ライバルチームからもその強さに賞賛の声が聞かれていた。 しかし――。6月半ばにインターハイ予選決勝で市立船橋に敗れてから調子を落とすと、リーグ戦でも勝ち切れない試合が散見。「疑心暗鬼になっていた」と榎本雅大監督が振り返った通り、スランプに陥った選手たちは自信を失った。しかし、秋の選手権予選で復調し、その後は圧倒的な強さで他校を凌駕してきた。左サイドハーフの亀田歩夢(3年/カターレ富山入団内定)、司令塔で世代別代表歴を持つMF柚木創(3年)が織り成す攻撃は迫力満点で、この本大会からポジションを掴んだFW山野春太(3年)も絶好調。持ち前のスピードを武器にここまで3戦4発の活躍を見せており、絶対的なストライカーが不在だったチームのラストピースとして欠かせない存在になっている。守備陣もCB奈須琉世(3年)を中心に安定しており、簡単には崩れない。2度目の優勝に向かうチームに隙はない。 一方の東海大相模は初出場ながら国立の舞台に足を踏み入れる。東海大五(現・東海大福岡)で監督として選手権出場を経験している有馬信二監督が11年に就任してから強化をスタートさせ、苦節13年で初めて冬の檜舞台に立つ権利を得た。個々の技術力を生かしたパスサッカーが身上でボランチの長井隆之介(3年)が組み立て役を担い、FW辻将輝(3年)やFW小林正樹(3年)といったスピードに長けるサイドアタッカーがチャンスメイクする。2トップの小林晄也(3年)と沖本陸(3年)も得点力があり、抜け目ない動きでゴールを狙う。セットプレーも武器で、特に左SB佐藤碧(3年)のロングスローは圧倒的な飛距離を誇っており、相手の脅威となる。また、走り負けない運動量も見逃せない。大会前に茨城県の波崎で走り込み合宿を行った成果が、今大会の躍進を支えている。 チャレンジャーの立場だが、勢いは十分。初戦となった草津東との2回戦(2-1)では終了間際に佐藤のゴールで逆転勝利を収めるなど、勝負強さも持ち合わせている。旋風を巻き起こす“神奈川のタイガー軍団”が、新たな歴史を作れるか注目だ。 (文・写真=松尾祐希)