クルド人と過激ヘイト 「仮放免者にも就労を」 川口市で見えた外国人政策の課題【報道特集】
双方の拡声器の音が響き、カメラマンとの会話が通じないほどだ。衝突を防ぐために警察官も声を張り上げて、衝突を阻止する。 デモ参加者、反対者、警察官、言い合い、もみ合い。何事かと外に出てきた住民も呆気に取られている。公園で遊ぶ少年に、不思議そうな表情で「これ…何やっているんですか?」と聞かれたが、一言では説明できなかった。デモは30分ほど続いた。 ヘイト行動は、乱闘映像がネットで拡散したのを境に、毎週のように行われるようになったが、川口周辺からの参加者は少ないと反対する人たちは指摘している。 在日コリアンを標的にしたヘイト行動が頻発していた神奈川・川崎市が4年前、ヘイトスピーチに刑事罰を科す条例を施行。それをうけて活動の場を移してきたと見られる人も多いというのだ。川崎のヘイト問題もかつて取材した私は、暗く、悲しい気持ちになった。 ■「言葉が課題」 日本人支援者の思い 過激化するヘイトの一方で、川口周辺には外国人の生活支援に取り組むボランティア団体もたくさんある。その一つ「在日クルド人とともに」は毎週日曜の午前、雑居ビルの一室で日本語教室を開いている。 我々が訪れた日はクルド人と日本人が15人ずつほどきていた。顔なじみが多く、日本人女性がクルド人少女たちに冗談めかして話しかけていた。 支援者の女性 「5年生になれるって?ほんとかよー」 明るい雰囲気のなか老若男女が、それぞれのレベルの書き取りや音読に取り組む。みな真剣な表情だ。幼い女の子も、絵本を開いてなにやら一生懸命つぶやいているのが微笑ましい。 団体の代表、温井立央さんは、妻が学校に行っていないクルド人の少女に声をかけたところから活動を始めたという。なぜ支援の軸が、日本語教室なのか。 温井立央さん 「日本語を理解できない状態で暮らしているクルド人も多いと思います。ある一定の自分の思いとかを日本語で表現できる方がいいので、どうフォローしていくのかが課題です」