英語の理解スピードを上げる<カタマリをカタマリとして捉える>手法とは。定型表現の知識のレパートリーを増やし、それに慣れるべし
令和2年4月に学習指導要領が改訂され、小学校でも外国語を勉強する時間が増加しました。「英語の重要性が叫ばれ、人々の関心が高まってるとはいえ、リーディングとリスニングを関連づけて考えている学習者は、まだまだ多数派とは言えません」と語るのは、杏林大学外国語学部准教授の北村一真先生。北村先生は、「定型表現の知識のレパートリーを増やすべき」と言っていて――。 【書影】一定の速度で英文が読めれば、自ずとリスニングの力も上達する!北村一真『英語の読み方 リスニング篇-話し言葉を聴きこなす』 * * * * * * * ◆カタマリをカタマリとして捉える 英語を理解するスピードを上げるための方法として、複数語がつらなって1つの意味をなすいわゆる定型表現の知識のレパートリーを増やし、それに慣れるということが挙げられます。 2~3語からなる熟語やイディオムの類については、構成しているパーツに分解しても意味が推測できないものが多いためか、学習参考書などでも取り上げられており、カタマリとして捉えるという習慣がついている人が多いかもしれません。 では、もっと範囲の大きい、文法的に分析すれば十分に意味が推測できそうな「構文」などについてはどうでしょうか。 パーツを文法的に組み合わせて十分に意味が分かるものまでなぜ丸覚えしなければいけないのか、と感じる人もいそうです。
◆ドラマ『Sense 8』 しかし、2022年に出て話題を呼んだ中田達也氏の『英語は決まり文句が8 割』(講談社現代新書)では、実際には英語の母語話者や上級者はその話の大部分を一語一語組み立てているというよりはカタマリとなるような定型表現を丸ごと使って話していると指摘しており、自然な会話のスピードについていくためには読み手、聞き手のほうも同じようにカタマリをカタマリとして瞬時に把握できなければならないと言えます。 具体例を1つ見てみましょう。次の英文はSense 8というドラマシリーズの予告編の冒頭での登場人物たちのやりとりです。 A:Few know what it means to be reborn a Sense 8. B:A what? “Sense 8 Official Trailer [HD]” Netflix 訳例 A:センス8 として生まれ変わるということがどういうことか、分かっている者はまずいない。 B:何だって?