広島首位争いの立役者 他球団が衝撃の「松井稼頭央超える逸材」は
課題だった打撃でも勝負強さが光り、得点圏打率.300をマーク。パンチ力があり、6本の三塁打はリーグトップだ。16犠打、9盗塁と小技、機動力での貢献度も高い。本職が遊撃の小園海斗が三塁を守る形で、遊撃のレギュラーに定着している。
大きな刺激になる存在
大きな刺激になる存在がいる。社会人野球・三菱重工Eastでプレーする兄の矢野幸耶だ。7月に開催された都市対抗では、「一番・遊撃」で先発出場した決勝のJR東日本東北戦で大活躍。初回、3回に2打席連続アーチを放つと、1点差に詰め寄られた5回に左中間へはじき返す適時打で3打点とチームの全得点をたたき出し、悲願の初優勝に導いた。 決勝戦が行われた7月30日は30歳の誕生日で、「日程を見たときに、勝ち上がっていけば決勝が誕生日だと分かっていたので、それがプレッシャーになって(決勝戦まで)ノーヒットだったのかもしれません。ただ、決勝も『ノーヒットでいい。その代わりに、チームへ流れを持ってこられるスイングをしよう』と思っていたのですが、今日はラッキーボーイでした」と安どの表情。決勝戦の前夜に矢野と電話で話したことを明かし、「弟から『打たなくていいから優勝しろ』と言われたので、『生意気だな』と返しました。決勝は自分が打って勝ったので、もう何も言わせません」と笑顔を見せた。兄の活躍は、矢野の発奮材料になっているだろう。 16~18年に球団史上初のリーグ3連覇を飾った広島だが、19年から4年連続Bクラスに。新井貴浩監督が就任した昨季は夏場以降に息切れして2位に終わった。6年ぶりのV奪回を狙う今季は安定力抜群の投手陣と強固な守備陣で「守り勝つ野球」を遂行し、265失点はリーグ最少。白星を重ねて首位につけている。残り39試合。1つも落とせない試合が続く中、攻守でチームをもり立てる矢野は不可欠な存在だ。 写真=BBM
週刊ベースボール