薬、iPhone、財布…“チェックリストの刺青”を腕に刻んだ女性の半生。薬を飲み忘れ「やらかした」事件を経て
「家族よりも愛人のほうが大切」と言い放ち…
一見似たもの同士の仲良し親子にも思えるが、徐々にほころびが出てくる。あるとき、父はふたたび家を出ていった。 「ふたたびの別居をしたあたりから、父の様子がおかしくなり始めました。なぜか家族に対して私がコカインをやっているという内容のLINEを送りつけて、家族全体が動揺したことがありました。もちろん、そうした事実はありません。 また、祖母が亡くなったときの遺品整理の際には、父の愛人が勝手に部屋に入ってブランド物をごっそり持っていってしまったことがありました。その話し合いのときに、父が『家族よりも愛人のほうが大切』と言い放ったこともあり、現在は絶縁しています」
「障害者のふりをして…」という批判も
精神疾患を抱えながら、現在はラッパーという言葉の世界で勝負をする百合さん。以前、自らの障害者手帳の顔写真がやや炎上したことを振り返って、こう話す。 「障害者手帳に貼られた顔写真がラップバトルなどに出場するときの写真だったため、『不謹慎だ』『ふざけているのか』というお叱りの言葉を多数いただきました。私はふざけてこうした写真を手帳用に選んだのではないんです。障害者のなかには、写真を撮るための閉所が苦手だったり、あるいはカメラそのものが苦手という人もいます。私もその一人です。個人によって事情は違うので、そのあたりを理解してもらえるようになるといいなと感じました」 社会全体として、弱者に厳しい昨今の現状を百合さんはこうみる。 「SNSなどで『障害者のふりをして公金を貪っている』という批判が目に付くのですが、それは障害者手帳を取得するのにかかる手間などを理解していないと思います。実際に取得した私の経験からいえば、本当は働けるけど楽だから障害者に擬態する人など皆無だと思えるほど、煩雑な作業です。また、申請から交付までも長い。世間は簡単にエセ障害者を作り上げるけれど、実際にそんなことをしている人はほとんどいないと思いますね。むしろ、みんなわかってもらえない孤独のなかで苦しんでいると思います」